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新人マンガ家相談室

【質問と解答】

Q:現在、A社で連載をしながら他の数社からイラストなども含めた単発のお仕事を頂いています。伺いたいのは、原稿料を訊くのにベストなタイミングと訊き方です。というのも、現在取引のある会社すべて、新規のご依頼をいただく際に原稿料がいくらなのかあちらからは提示されず、連載作品ですら振り込まれて初めて原稿料を知るような状況です。お話を頂いた時に確認すべきなのだと思いますが、企画によっては私に依頼する時点ではまだ編集さん自身も原稿料が決まっていない場合もあるようで、結果的に気まずいことになってしまった経験から、原稿料や振り込みのタイミング等を訊けずにいます。また、依頼の内容も当初のものより点数が多くなったり、モノクロをカラーに、などと変更になる場合が多く、他社のスケジュールにも影響するため困っています。作家さんの中にはこうした事態を防ぐために、予め原稿料や修正回数などを記載した契約書を作る方もいると聞きましたが、新人であることもあり、そこまでは強気に出ることができません。いつ、どのように訊くと編集さんも答えやすいのでしょうか? 尚、ほとんどの場合メールではなく電話で新規のご依頼を頂きます。

A:長い付き合いの相手ではなく、新規の飛び込みの仕事の場合はやはり、最初に仕事内容や締め切りを聞く時に原稿料についても確認しましょう。お金の話を後回しにするのは業界の悪しき慣習ですね。昔は漫画家やイラストレーターさんとの付き合いは彼らを育成した大手の漫画出版社に限られており、金銭面についても相互の信頼関係で成り立っていました。原稿料も新人は出版社ごとに一律で後はキャリアに応じて上がっていき、他の出版社で仕事をする場合も同じ原稿料が適用され、一度上がった原稿料は下がることがありませんでした。ですが、現在は旧来の漫画出版社以外の新規参入の中小出版社や配信会社や編集プロダクションがそれぞれ独自の原稿料・印税設定をしており、場合によっては同じ会社からの依頼であってもスポンサーや企画次第で原稿料や印税が異なることすら珍しくありません。ですので、新規の飛び込み仕事の場合はビジネスライクに事前に原稿料を取り決めておくことが必要でしょう。依頼時点で原稿料が確定していない場合でも問われれば上司と相談して提示してくれるでしょうし、そこで問われて言い渋るようでしたら依頼を断ってもいいのではないでしょうか。一方で、依頼点数や仕様の途中変更についてはある程度やむを得ないと思います。担当編集の気まぐれで変えるわけではなく、おそらくはスポンサーの要請や企画自体の仕様変更によるものでしょうから。あまりここを契約でがちがちに固めてしまうことを求めると、よほど著名な作家でない限り面倒臭い作家と見なされて仕事がこなくなります。ただ、点数や仕様の変更がありうるかどうか、原稿料はそれに応じて貰えるのかは確認しておいたほうがいいでしょう。前もって覚悟しておくのと不意打ちされるのとでは対処の難易度が違いますから。