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新人マンガ家相談室

【質問と解答】

Q:未デビューの学生です。とある少年誌で二年近くお世話になり、賞もいくつか取らせて頂きましたがマンネリ化してしまい、別の出版社に持ち込みに行きました。そこで目をかけて下さった編集さんにお世話になり一か月ほど経とうとしているのですが、不信感が拭えなくなってしまいました。その編集さんは私のことをとても見込んでくださり、アシスタント先を紹介しようとするなど手を尽くしてくださいます。しかし打ち合わせしていくうちに、褒めるのみできちんとした指摘がされていないことに気づきました。
初めは私の士気を上げるためにそうして下さるのかなとも考えたのですが、私が厳しく指摘して欲しい旨を伝えても明確な意見が返ってこず曖昧な返事ばかりで、指摘しないのではなく出来ないのではないかと考えるようになりました。ネームを見て頂いたのは2度、キャラデザを見て頂いたのは1度です。しかし担当さんに指摘を頂いてネームを直す、ということは1度もありませんでした。それでも、多少不安があろうとそこで頑張ろうというつもりでいたのですが、先日の打ち合わせで、不安が確信に変わってしまいました。月例賞に出そうということでネームを切ったのですが、その時はいつも以上にベタ褒めされ、「佳作は固い! 入選もいけるかも」と言われました。私自身としてはあまりいい出来ではない気がしていたので、そのズレに違和感を感じ褒められたのにもやもやしてしまいました。特に直しもなく、これで原稿にしようということになったものの、不安があったので、漫画に明るい知り合いや信用出来る身内に読んでもらい意見をもらったところ、「今までの中で最低の出来だ。悪い癖がどこも直っていない。こんなのを絶賛してろくにアドバイスもしないなんてありえない」と言われてしまいました。
最も長く私の漫画を読んでいる相手なので、ある程度信用できる言葉だと思います。他に見て下さった方も、みな一様に微妙な反応でした。その編集さんはとてもフレンドリーな方で、私に良くしてくれているので悪いことは言いたくないのですが、例えこの後自力でそのネームを直して良い賞に入ったとしても、その方とやっていってモチベーションを保てる自信がありません。前の編集さんは今思うととても的確なアドバイスをくださったと思います。しかし私に特別期待している印象もありませんでしたし(単純に私の努力が足りなかったのもあります)、少しビジネスライクな印象で、作家としての悩みなどは相談出来ずにいました。なのでフレンドリーな編集さんに対する憧れもあったのだと思います。しかし今となると、前の出版社に戻りたい気持ちが強くなりました。まだ完全にフェードアウトはしていないので、連絡をすればネームを見て頂けるかもしれません。そこで質問なのですが、

1)この場合、今の出版社にいるのがベストなのか、戻る方がいいのか。それともまた別の出版社へ持ち込むのがいいでしょうか?

2)今の出版社で見て頂いたネーム(担当さんの直しは入っていませんが、打ち合わせでいくつか頂いたキャラデザを一つ選んでもらい、それを動かす形でネームを切りました)を大幅に変えたものを前の編集さんに見て頂くのはアウトかどうか?

3)今の出版社を去る場合、担当さんには正直に理由を話してフェードアウトすべきでしょうか?

よろしくお願いします。




A:1)今の担当さんの編集としての能力は判断できませんが、あなた自身が不信感を持っている以上、その不信を胸に抱えつつこの先もそこでやっていくのは互いのために良くないでしょう。前の持ち込み先に戻る場合、あなた自身の力が当時より大きく伸びていて担当さんの評価が改まらない限り、同じことの繰り返しになるのではないでしょうか。最新の絵と新しいネームを見てもらった上で、期待値が上がっているかどうか反応を見て今後の身の振り方を判断してください。最もいいのは、別の編集部をいくつか回ってみた上で、前の持ち込み先より期待してくれ、なおかつ指導もちゃんとしてくれる編集者に巡り合うことです。それが叶わない場合は、前の持ち込み先で担当さんに自分の方を振り向いてもらえるだけの力をつけるべく頑張りましょう。

2)担当さんの手が入ってないのであれば、特に断らなくても別の編集部に診てもらって問題ないと判断します。

3)「フェードアウト」というのは次第に消えていくことですから、正直に理由を話して出版社を去る場合はフェードアウトにはなりませんよ(笑)。それはともかく、将来その出版社(編集部)で仕事をする可能性を残しておきたいなら、はっきりと絶縁宣言をするより文字通りのフェードアウトをするほうがいいのではないでしょうか。