●青年誌は初めて声がかかったんですか?


当時、青年誌ってジャンルは小学館しかなかったわけ。
まだヤンジャンは創刊したばかりだし(1979年)、
ビッグコミック、ビッグコミックオリジナルぐらいだったから…。

そっちはもう大家たちの戦場みたいな感じがあるから、
俺はもう少年誌で行くしかないって言うか…、
まっ、仕事も来なかったっていうのが一番大きいんじゃないの。
やっぱりその当時は、青年誌と少年誌の作家って、
けっこう住み分けしっかりしてたから。

で、講談社が青年誌出す時に、作家がそんなに揃わないでしょ。
それでいろんな若手に声かけたんじゃないかな。
ある意味では、講談社としたら冒険だもんね。
確か、ちばてつや先生が最初の巻頭やったんじゃないかな。
(週刊少年マガジン ヤング別冊 新春号/『あしたのジョー』イラスト)

弘兼(憲史)さん、柴門(ふみ)さんも描いたね。
(弘兼先生『ハロー張りネズミ』、柴門先生『P.S.元気です。俊平』)
弘兼さんは、多分オリジナルでやる初めての連載だったんじゃないかな。
それまで原作付きで小学館でやってたから、小池(一夫)さんと組んで。
今から考えるとけっこうなメンバーだよな。



●創刊誌で今までと違う顔ぶれと書くことで何か意気込みはありましたか?

そりゃあもう、ジャンプ出身者はどの雑誌に行こうが、
トップ取ったるぜえってのはもう、どっかであるから(笑)。
そりゃあもう、トップ取ることずっと意識はしてたよなぁ。
実際、この頃トップだったんじゃないかなぁ…。



●小野新二さんとのエピソード

個人的にはすごいいい人…。
小野君は、真面目だから…、
年2回位パーティーで、酒飲むぐらいで、
遊びはまったくしない子だから……、
かわいがられてたんじゃない、みんなに。
ニコニコ、ヘラヘラしてて。

いっぱい組んだ作家の中でも、
人間的にはすごいかわいい人だったよね。
あだち勉・充先生のところの出身で…。
だから、本当はラブコメやりたかったんだろうね、本当の。
酔うと必ず、俺は先生を超えてるって言ってたから(笑)。

俺と担当2人と、温泉シーズンになったときに、
芸者をあげないと書けないって、俺がわがまま言って、
北海道までわざわざ行って、
そのときに多分小野君置いて行ったと思う(笑)。
で、3人でメチャメチャ遊んで帰って来たら、
その金を会社で払えなくて…、まだ編集費少なかったから、
多分、編集2人が身銭切ったんじゃないかな。
確か…、小野君は行ってないような気がする。



●『OH!タカラヅカ』は講談社の中では初めてのヒット作ですか?

素晴らしきバンディッツ』はそこそこだったから…。
うん、そうだね。
『バンディッツ』よりはやっぱり…、
ヤンマガは本の規模が小さいから…、
マガジンってメジャー誌でしょ。
層が厚いから仕方ない事なわけ、トップ取るのが難しいのは。
ヤンマガはやっぱりできたばっかりの雑誌で、
みんな試行錯誤でやってるから、
こっちのほうが…(トップ取りやすい)、
だから当たったって感覚はこっちのほうがあるよね。
なんだかんだ言って上位にいたわけだから。

だから結局、その後なんだかんだ言って、
ヤンマガからはずっと仕事切れてないよな。


●1誌で『OH!タカラヅカ』と『列島198X』、2作品同時に連載してますよね


【編集メモ】

*『列島198X』 1981(S56)年7号〜1982(S57)年3号 ヤングマガジン 漫画/沖一
  もし日本がロシア(旧ソ連)に侵攻されたら?という設定のポリティカル・ハードロマン。


2年目で作家がいなくなったから、
もう1本書いてくれってことになったんじゃない?
1誌で2本っていうのは俺の経験としては初めてだよね。
それは多分…、
もう1本できませんかって言われてやったんじゃないかな。
まったく、違う物をやりませんかって。
なんでもいいからやってくれって言われて、
じゃあ、軟はやっているから硬をやろう
っていうことだったんじゃないかなぁ。

これ、『列島198X』だよな。沖(一)さんだよな。
(沖先生/第2回ちばてつや賞佳作出身)
これが始まったときに、よし、1位2位取ったろうって(笑)。
そうこうしているうちに、弘兼、柴門ご夫婦に1位2位を取られて…。
あの夫婦の1位2位争いと俺の1位2位争い…、
いつも熾烈に戦っていたんだよ(笑)。


●『列島198X』はシュミレーション漫画のようですが?

そう、まだ冷戦時代のときの、ロシアってのがあったから、
それにもし侵攻されたらどうなるっていう、言わば、シュミレーションで、
自衛隊にいた知識があるから、
それでちょっとやってみようかなっていう
実験的な漫画だった気がするよ。

だから最初から、
単行本2巻って形でやりますってことだったと思う。
多分誰かに指定されたのかなぁ。
そうだね、シュミレーション漫画ってのを誰かに指定されて、
それに俺がのってやったのかな。
あの話、俺けっこう好きだよ。

沖君は色が付いてなかったから、すごいよかったよ。
色が付いてないし、きれいな絵を描いたから、
もう思うがままにこっちが犯せるって感じだから。
ある意味では俺の色に染められたからね…、うん。
そのときの印象があるから、
ASTRONAUTS』に繋がったんじゃないのかな。


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