●『大器のマウンド

【編集メモ】

* 『大器のマウンド』 1977(S52)年25号〜1978(S53)年30号 週刊少年マガジン 漫画/岩崎健二
  北国を舞台にした高校野球漫画。

よく考えると、その編集は、俺と野球漫画しかやってないんだよね。
そのあと『素晴らしきバンディッツ』だろ。全部、その編集。
彼は講談社の野球チームのエースだったんだよ、肩壊すまで。
そのころ、講談社のチームと一生懸命野球やってたんだよ、本宮プロとで。

『大器のマウンド』の岩崎さんは新人。

この作品、好きだよ。
今度は、『剣とバット』とは、城下町の話とは逆に、
のほほんとした田舎の話を書いてみようってさ。
それで面白いかもしれないって。
意外とね、妙なファンがいたんだよ。
『大器のマウンド』って面白かったっすよってね、
言ってくれる人いるんだよ。

(のちの史村テイストに近い臭いを感じたんですけど…)

ほのぼのとして、なおかつ頑固なというか、
出て来る連中が一人一人意見を持ってるっていうか、
考え方持っててっていう感じで…。
一部で面白いよって言われてた。
はじけるっていうか、メジャーっていうか…、
華々しさはないけど、実に地味ないい話だったと思うね。

これもまた…、
あんたの言いたいことはわかるけどってケンカして終わり(笑)。


●現在の連載と比較すると割と短命な作品が多かったですね

なんだろうね…、やっぱり当たってないっていう…、
自分では満足して書いてて、
編集者も満足してて書いてるっていうのはあるんだけど、
やっぱり、人気が出ないってところで、意見の衝突っていうか、
要求されるものがある、
でもその要求されるものがすごい高い所にあって、
その高い所は俺が理解できないっていうか、
理解はしてるんだけど書けないって…。

やっぱり、人気が出ないってところで 、デッドロックっていうか…、
暗礁に乗り上げてるよな、うん。

でも、その編集の性格だから、こっちが弱気出したときに、
あの人は絶対もう少しがんばってみようよって言わない人だから、
はい、わかりましたって言う人だから(笑)。


●受けなかった野球を辞めて、ヒットしてた『ドーベルマン刑事』のような
 ハードな作品にチャレンジしようとかは?


いや、2本は書けないだろ。
(『ドーベルマン刑事』は)読み切り形式じゃないか。
毎週読み切りでしょ。
今、この頃の記録見てるとさ、よくやったよな週刊連載2本。

この時代はまだ独身でしょ。
独身で本当にマンションから出ないで、
ほとんど仕事ばっかりだったような気がするよ。

『ドーベルマン刑事』のころはまだ原稿取りに来てくれないから、
プロット書いてまず持ってくでしょ。
で、打ち合わせしてOK出て、それを書くでしょ。
そうするとやっぱりどう考えたって3日から4日かかるわけ。
それで今度は、講談社の担当との野球ものとかあるでしょ、
そうすると、今度はそっちに3日?
もう本当に1週間っていうか、本当に丸々仕事だよね。

でも、なんか酒飲んでた覚えあるなぁ。
何やってたんだろう、そのころ…………。
夜はけっこう飲みに行ってたな………。
ガリガリに痩せてるころだよ。
多分そのころ、体重55kg切ってたんじゃない?
今、そのころの写真見るとガリガリよ。

ハードボイルドは『ドーベルマン刑事』で、
本当にいっぱいいっぱいだから、書くものは違うもの書きたいよね。
同じもの書いてたら、やっぱり『ドーベルマン』自体が…、
やっぱり同じものを同じふうに俺は書けないよね。


前のページへ 《 03/06 》 次のページへ