●そのころ、仕事仲間はいましたか?


俺は、やっぱりずいぶん漫画家さんに世話になっているんだ。
食えないころ。
石神井公園に行ったときも、
梅本さちおさんとか、ちばあきおさんにはね。
いろんな意味で世話になってるね。
ジャンプの先輩で、野球仲間だったし…。

やっぱり…漫画の話もしたし、本を読めとか、アドバイスも…。
みんな、考え方がいろいろ違うんだけどね。
俺は漫画ってヒットしてなんぼやって考え方だったし、
ある作家さんは違うって、
自分はいいものを描かなきゃいけないっていう人たちもいたし…。
それはもう、本当に、あーいろんな人がいるなって。
だけど、俺は当ててなんぼやって、俺も曲げなかったけどね…。


●貧乏生活から一気に大金が入ったときの感想は?

熱海に2、3回行ったんだよ。
面白いなとは思ったんだけど、すぐそこで確定申告だったのかな。
で、税金がこんなにかかるのかってのがあったんで、
あっ、使えないや、そんなに、と。

意外と堅実なのよ。
堅実というか、俺免許持ってないし、車のほうは興味ないでしょ。
酒だけじゃん。酒ってのはたいした金にならないのよ。
食い道楽でもないし、ないっていうか、
当時は、貧しい人間は高いもの食うってことはまずないわけだから(笑)。

『ドーベルマン』の印税入ったときに1000万くらいになってるでしょう。
そうすると税金払って500〜600万くらい残ってるでしょ。
あっ!すぐマンション買った、俺(笑)。
手堅いなー(笑)。

1500万のマンションで、ローンが800万で、
頭金が700万いるわけよ。で、俺ぎりぎりだったの。
かき集めて600〜700万でぎりぎり、
足んない分を800万借りたの。
そしたら、ローン組んでもらえないのよ(笑)。
なんでかって、過去何年かの収入出すじゃない。
たまたま急に増えただけだから、35年ローンはだめですって、
あんたの仕事の場合は20年でどうかって(笑)、20年でローン組んだ。

だから、また無一文。
そのとき、さらに借金800万!(笑)
でも、単行本は順調に出てるから、大丈夫だなとは思ってたんだけど。
だから2万円のアパート、ちょうど4年間で脱出。
順調だったし、運が良かったっていうのかね。


●ヒット作の影響は?

あれを書いたおかげで、ハードボイルドっていうか、
バイオレンスも意外と、あいつ書けるんじゃないかってのが、
ある種、あるでしょ。
で、いろいろな仕事来るようになったし、他でやってると、
マガジンはマガジンで、ヤングマガジンが出来たときに、
コメディーやらして下さいって言ったら、
コメディー面白いねって、やらしてもらえたし、
サンデーはサンデーで、自衛隊もの書かないかって『ファントム無頼』
やらしてもらえたし。

ヒットしていなければ、誰も声かけないじゃない。
編集みんな、飲み屋で知り合ったわけ。
当時、ヤンマガの編集にしても、サンデーの編集にしても、飲み屋で…、
あー、お前が武論尊か、『ドーベルマン』のあれか、
今度なんかあったら話に行くわって。

『ドーベルマン』書いてなければ、ただのぺーぺーだから、
俺のほうから書かして下さいって話になるでしょ。
今こんな原作書いてますって。
だけど、『ドーベルマン』って1つのヒット作があると、
ああ、あの、ってことになるわけ。
やっぱり、1つヒットもってるからって、
それは大きいよね。

だから、よく考えると、今しゃべってわかったけど、
けっこう順風満帆だよな。
自律神経失調症になって、屈辱の謝り事件がなければな(笑)。


※本文中( )内の表記、および[編集メモ]漫画街。氏名敬称略。
記録に誤りや漏れなどありましたら、ご指摘ください。


(第3回 終)

★次回は『ふたつのペンネームの由来』のお話をお聞きする予定です。お楽しみに。


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