前回は、武論尊先生に
“少年時代”について語っていただきました。
先生の“少年時代”は、ひと言で言えば“貧乏”。
その“貧乏”に訣別すべく、
15歳の先生が進んだ道は“自衛隊”。
そこはいったいどんな世界だったのでしょうか。

(取材日/2003.6.21 茨城県鹿嶋市の別荘にて)

●自衛隊は何歳から何歳まで?

15で入隊。で、7年間。
だから22まで…、で、その4月に辞めたから。
ちょうど同じ年の連中が大学出る年まで。社会出たのと一緒の年。


●15歳で入隊したときの話を

陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊、試験は全部一緒なの。
それで、陸、海、空を希望するわけ。
それで振り分けられるんだけど、
陸上自衛隊行った人たちは、少年工科学校ってのに入るの。
海上自衛隊の場合は、少年術科学校っていうのかな。
それで航空自衛隊の場合は、航空自衛隊生徒って、3つに分かれるわけ。

(俺は)航空自衛隊。埼玉県熊谷の…。
長野で試験受けた。
全県同じ日に受けるから、それで成績が上から順に取っていくんだと思う。
陸上自衛隊が450人ぐらいかな。海上自衛隊120人ぐらい。
で、航空が100人ぐらい。


●かなり狭き門?

俺たちの時代で20倍ぐらいの競争率だよね。
だから、偏差値的には高いのよ。

航空自衛隊入ったころは、
俺たちのころは、埼玉県立浦和高校の通信教育に入ったの。
そのころの浦和高校って、埼玉でトップでしょ、公立としては。
で、その1年生と俺たち航空自衛隊入った100人と、
同じ試験受けたわけ、入ったときに。
そしたら、こっちのほうが上だったからね。
だから、それぐらい優秀な連中だったと思うんだけど…、
一年後に同じ試験受けたら、10点ぐらいおいてかれた(笑)。

しょうがないのよ。
1年間、鉄砲かついで走ってるわけだから。
もう、メチャクチャやられる(しぼられる)わけだから。
勉強なんかそっちのけだから。

一応、一日のうち…、5時間ぐらいはちゃんとした普通科の教科、
5科目はちゃんと受けるの。ちゃんとした先生が来てくれるから。
で、一応高校の勉強もするんだけど……。
そのあとの時間ってのは、一応部活もあるんだよ、運動部の。
で、それが終わるでしょ。終わると自衛隊の生活が待ってるわけだよ。

だから…、午後からは完全に教練、軍事的な訓練。
午後からは、先輩たちにいろいろ…言ってしまうとしごかれたわけさ。
朝は6時に起床で8時までのあいだにびっしりやられて、
で、8時に授業始まる。
そん時にみんなほっとするわけ。授業が逃げ場だから(笑)。
そんで、2時か3時からまた自衛隊の生活っていうか、軍事的な教育に戻るから、
もう寝てばっかだな、授業は。

もう、あっというまに遅れてくよ。
まじめな奴はまじめにやってたけど、だいたいはこぼれていくね。

最初の1年間は、ほんとに……下っ端だから。
体育系のね、きつい体育系の部に入ったと思えば…、もっときついかな。
ほんとに人間扱いされてないから、1年間は。
だから、何人辞めたかな、1年目で…。
100人のうち、20人くらい辞めたんじゃないかな、1年もたないで。

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