【質問と解答】

Q:デビュー済み、8年間読み切りをたまーに載せてもらえる立ち位置のくすぶっている者です。担当さんに毎回読み切り用の案を何本も提出するようなシステムなのですが、これは皆さんそうなのでしょうか? 絵がダメだが話は面白いと毎回言われるのですが、人気が出ません。編集部にFAXして他の人にパクられることってあるのでしょうか? 僕の没になった案とそっくりの読み切り(後からデビューした売れている作家さんや、他の作家さん)をよく目にします。ありきたりと言えばありきたりなベタなネタばかりなのですが、もしそういうことがあったら人間不信に陥りそうです。こちらはまったく枠がもらえず、お涙頂戴レベルに何か月かに1本やっと枠が貰える程度なので。もう、一から投稿とかはじめたほうがいいと思っています。こういう僕みたいな立場の漫画家が、一から投稿して再デビューすることって、きっと多いですよね? お金というよりも(お金はアシスタントや他の仕事でどうにかなってます)、どうしても描きたい、伝えたい事があるのに載せてもらえない、チャンスがない現状に苦しんでいるので、とにかく漫画を描きたいんです。今の編集部にはもう「使えない作家」と見なされている空気が痛い程分かっているので、別の道を開拓すべきかと思っています。アドバイスよろしくお願い致します。


A:プロの世界は結果が全てですから、結果を出さなければ次のチャンスはなかなか巡ってきません。あなたの場合、「お涙頂戴レベル」とは言いますが、数か月に一度掲載枠をもらえているわけですから、かなり恵まれているほうです。厳しい言い方をするようですが、その与えられたチャンスをものにできないのは自分の実力不足・努力不足でしょう。努力はしていると言うかもしれませんが、話は面白いと言われているのに絵に駄目出しをされているわけですよね? それならば絵を変える努力をすべきではなかったでしょうか。絵についても練習したり変えようとしたのかもしれませんが、評価が変わらなかったのであれば努力が足りなかったのでしょう。ともあれ、あなたが考えるように「使えない作家」との評価が定着しているのであれば、心機一転他の雑誌に一から投稿するのもありです。雑誌が変われば読者層も変わりますから、また別の評価があるかもしれません。それは絵柄についても言えることです。ただし、少なくとも今の雑誌で再度枠をもらえる機会があるならば、同じ轍を踏まないように担当さんと相談しながら絵を変えて臨むようにしましょう。
 ちなみに、ネタのパクリ疑惑については、まともな編集部であればそんなことはありえません。普通に考えてリスクの割に、当の漫画家はともかく編集者にとってメリットはあまりありませんしね。同じ雑誌の同じ号でも別の編集者の担当作品であればネタ被りは時々起きます。時事ネタ、流行ネタ、季節ネタは特に被りやすいですが、編集者を長くやっていると新連載を準備している矢先に他誌で似た設定の連載が始まって涙を飲んだ経験が何度かあります。まして、あなたが言うような「ベタなネタ」であればなおさらです。仮に担当さんがネタの横流しを疑うような人格的に問題がある人間なのであれば、早々に縁を切るべきですね。でないのであれば、鬱屈した精神が生んだただの疑心暗鬼ですので、すっぱり頭を切り替えましょう。