【質問と解答】

Q:初めて出した単行本をamazonで酷評されたのを見てから数日間、机に向かうと眩暈が止まりません。現在私の単行本のamazonレビューにはその酷評が一個だけついているような状態になっています。初めて取れた連載で一年間頑張ってようやく出せた自信作だったのですが、キャラの作り方などかなりこき下ろされ、今まで積み立ててきたものを崩されたような気持ちになって原稿をしようにも朦朧としている状態です。読み切りや連載企画では数回ボツを貰ってもあまり落ち込まず図太いタイプだと思っていたのですが、このような状態になったのは生まれて初めてで困惑しています。ほとんど新卒の頃からずっと私の担当で、根気良く私を育ててくださった編集さんは「凄くいい単行本ができて僕としても嬉しいです!」と言ってくれたのに、このような精神状態になってしまい、無理やり描いた絵も非常に荒れているのですが、申し訳なくて相談も出来ません。締め切りが迫ってきているのに描けません。一度の批判でこんな風になってしまうのは漫画家に向いていないのでしょうか。


A:amazonレビューといっても、しょせん大勢の読者の中のたった一人の人間がその場の気分で書きなぐった投稿に過ぎません。それだけに素直な感想とも言えるのですが、たった一人の評価であるなら、それは単に個人の好き嫌いでもあるのです。そうした読者の作品の評価・感想などというものは、読む側のその場の精神状態や、勝手な期待の持ち方によって左右されます。気分が乗らない時に読んだものは面白くありませんし、タイトルやコピー、世間の評価などから想像し期待したものと異なった内容であれば「思っていたのと違った」と低いジャッジを下しがちです。また、一度そうして自分の中で下した評価は刷り込まれてしまい、再度読んでも改まることはまれです。何十人もが皆同じような評価であればレビュー内容に正当性を認めなければならないでしょうが、たったひとつのレビューにそこまで振り回される必要はありません。あなた自身も理屈ではわかっているのでしょうし、さっさと忘れてくださいと言ってもなかなかそううまくはいかないかもしれませんが、他にアドバイスしようがありません。担当さんに慰めの言葉と発破をかけてもらうことが一番の薬になると思いますから、事情を打ち明けて相談を持ちかけてみてください。担当さんも心配していると思いますよ。