【質問と解答】

Q:今年6月26日に「年齢に合っていない雑誌で続けるかどうか悩んでいます」の質問をしたものです。アドバイスありがとうございました。契約更新期限が近くなり、この雑誌で続けるか今悩んでいます。状況は、あれから契約期間終了までは頑張ろうと半年間連載コンペを提出したり読み切りを描いてきましたが、数回出した連載コンペにはすべて落ちました。キャラやわかりやすさなどの欠点を指摘されるうちは納得し、もっと成長して提出しようと描いてきましたが、最後に出したコンペの落選理由は「特に欠点はなく面白いけどこれじゃない」というもので、担当さんまで悩んでしまいました。一度コンペに落ちた企画を練り直しで再提出した時も、前には指摘されなかった設定が落選理由だったりして、遠回しに「連載で使う気はもうない」ということかなと思ってしまいます。客観的にみてどうでしょうか? 1年近く決まらず、ダメな理由も特にないけどみたいなのはもう限界でしょうか? 連載会議に提出できたり、読み切り依頼あるだけいいので、まだまだふんばり時でしょうか? 他の雑誌をあたるにしても、1冊コミックスを出した程度だと投稿からやり直しでしょうか?




A:煮詰まった状態ですね。私も編集者なので担当さんのあせる気持ちもよくわかるし、欠点がない作品でも連載コンペに落とさざるを得ない編集長の考えもわかるんですよね。連載作品を決めるのは雑誌の死活問題なので、この作家はよく頑張っているからとか、前よりも成長が見られるからという情実では決められないのです。欠点がないしまずまず面白い、けれど決め手がない、これじゃないというのは、欠点がない代わりに売りも弱いということなのです。設定が理由で落選したときも、実は本当はそれ自体が理由じゃないのです。挙げる欠点が他になかったので、強いて言えばということで雑誌の本流の設定じゃないことをわかりやすい理由にしたのでしょう。ネタが本流じゃなかろうが、突き抜けた魅力があれば問題にはなりません。要するに、マイナスがない代わりにプラスも足りないというのが本当の落選理由です。ところが、欠点は編集者が指摘し指導して直すことができますが、このプラスの部分というのは創造、オリジナリティーに属するものなので、編集者はアドバイスはできるものの最終的には作者自身が見出すしかありません。ただ、今の足踏み状態が続いて煮詰まった現状ではあまり望めないかもしれません。今の雑誌でのアプローチはし尽したと考えているなら、他の雑誌に舞台を移したり、新たな編集者(今の担当さんが力不足ということではありません)と組むことが刺激になって現状を打開できるかもしれません。一度担当さんと現状に限界を感じていることや移籍の意向について話し合ってみてはいかがでしょうか。担当さんも悩んでいると思いますので、互いにとっていい機会になるでしょう。その上で、同じ出版社の他誌編集部を紹介してくれることもあります。私も同じ出版社内の他誌から作家を紹介してもらって連載に持ち込んだことが何度もありますし、逆に雑誌内で鳴かず飛ばずで他誌に紹介した作家が大ヒットを飛ばしたこともあります。また、他社に営業をかける場合も投稿からやり直す必要はありません。その雑誌向けの企画と自分のコミックスと読み切りの刷り出しかコピーを持って持ち込みしてください。また、専属契約を更新しない選択をしても雑誌や担当さんと絶縁するわけではありません。他誌で新境地を拓いて成長してまた元の雑誌でも仕事をしている方は大勢います。プロの作家として新たな取引先を増やすという認識で営業してください。