【質問と解答】

Q:連載未経験の新人です。デビューしたときがあまりにも未熟だったため、それからかなり年月が経ってしまっているのですが、読み切りを不定期に描かせて頂きながら連載を目指しています。
 今の担当編集さんはとても熱心な方で、中々芽の出ない駄目な僕にもちゃんとすぐに返事をくれ、打ち合わせも頻繁にしてくださいます。その担当さんになってから、コンスタントに読み切りを掲載して頂けるようにもなりました。でも、僕の技術不足のせいで、ネームやカットの没や直しは未だに何度もあります。直す作業や没をくらうことは苦になりませんが、こんなにも毎回毎回駄目出しをされるようでは、編集さんに見限られないか不安でなりません。編集者の立場からすると、直しの多過ぎる新人はやはり厄介者でしょうか? それとも、直しが多いのは普通でしょうか。周囲の作家さん方の発言で一発オーケーとか割と耳にするので、非常に怖くもあります。直し自体は本当に楽しい作業で、直しを与えてくれることで担当さんが「ちゃんと見てくれている。適当にあしらわれていないんだ」と感じられて嬉しく思えるのですが、いずれは自分だけの力で最初からある一定レベルの域まで達したネームを切れるようでなければ、連載作家のペースで連載レベルの作品を世に送り出す事は不可能に違いないと思うのです。こんなにもネームが下手な者でも、成長することは可能なのでしょうか。なんだか、凄い先生は、投稿時代から凄いのではと思えてならないのです。また、ネーム作りの勉強や方法論などございましたら、お聞かせ頂けましたら有り難いです。




A:直しを苦にしない創作姿勢は貴重だと思います。しかし、ネームに何か問題があれば担当が指摘してくれる、担当から指摘されてから直せばいいという甘えがないか、自分を振り返ってみましょう。担当編集への過度の依存は思考停止につながり、自らの成長の妨げとなります。デビューからかなり年月が経っていながらネームに何度も駄目出しされるのは、担当に言われるがまま直すだけで、なぜ駄目出しされたのか理解できていないからではないでしょうか。ネーム作りの方法論は漫画技法書や脚本術、演劇論などの書籍を読めば得られますが、担当とのネームのやり取りがなにより実践的な勉強になっているはずです。しかし、担当の指導どおりにネームを直して良くなったとしても、それがどういう理由によるどういう理屈での修正なのか本質を理解していなければ次の作品のネームでも同じ間違いを繰り返してしまいます。ネームの直しを求められたとき、ただ言われるがまま直すのではなく、どこが駄目なのか、どうしてそう直すのかよく考えるようにしましょう。そして、自分で考えてもわからなければ理解できるまで担当編集にくいさがりましょう。熱心な編集者であればちゃんと答えてくれるはずです。そうしていくことでネーム作りの方法論は身に付いてきます。