【質問と解答】

Q:就職して会社で仕事しながら、連載を目指す人は多いですか? もし連載が決まれば、連載が始まるまでの期間に会社を辞め、アシスタント経験などが一切ないまま第1話目を完成しなければいけばならないですよね? そのようなことは可能なのでしょうか?




A:確かに普通に就職して仕事をしながらプロを目指す人も大勢いますが、実際には難しいですね。学生時代には熱心に投稿して打ち合わせも頻繁にしていた方が、就職するとだんだん連絡の間隔が空き、やがてフェードアウトという例は幾度となく経験しています。就職して仕事をするということはアルバイトとは全然違います。拘束時間は長いですし、自分の都合で簡単に休むこともできません。仕事に対する責任の度合いもずっと重くなりますから、精神的な負担も大きくなります。新人のうちは目の前の仕事を覚えてこなしていくことと、人間関係への対処に精一杯で、平日は帰宅しても漫画に手はつけられないでしょう。そうなると休日を漫画に充てることになりますのが、疲労を翌週に持ち越すことを続けているとそのうち破綻してしまいます。また、担当編集者とのやりとりもほとんどメールのみとなりますから、打ち合わせに支障を来したり、モチベーションを保つことが難しくも考えられるでしょう。ですから、就職直後はあせらず、業務の気分転換となるような形でアイデアやネームを少しずつ書き溜め、業務に慣れて精神的、肉体的な余裕が生まれてから本格的に再始動するくらいの気持ちで臨んだほうがいいと思いますし、担当編集へも理解を求め定期的な連絡を約束してもらいましょう。ですが、就職直後もその後も学生時代のようには漫画の創作活動に時間を費やすことはできませんから、本人の漫画への情熱が維持できるかどうかが鍵となります。また、あなたが心配しているアシスタント経験については、連載が決まってからの準備期間に新人だと最低2〜3か月はとるでしょうから、その間に担当に頼んでヘルプ(臨時アシスタント)の仕事を何度か入れてもらうといいでしょう。
 さて、今まで述べたのは就職して漫画連載を目指すことを大前提にしての回答ですが、本気で連載獲得を目指す(目指せる)段階の新人漫画家のであれば、そもそも就職すべきではないというのが私の意見です。小説家ならば会社勤めと兼業で書いているプロの方も大勢いますが、雑誌連載が前提の漫画家は4コマ以外は兼業では不可能な職業です。連載をするには会社を辞めなくてはいけませんが、そうなると会社には多大な迷惑をかけることになります。求人告知をしてから一人の新入社員を雇用し一人前の社員に育成するにはどれだけ金銭も手間もかかるか考えてみてください。最初から短期で辞めることを前提に入社されてはたまったものではありません。それに、「あわよくば」「うまくいったら」というくらいの気持ちで連載が獲れるほど甘いものではありません。よほどの才能と技術があれば別ですが、それならば最初から就職する必要はありません。当面の収入が必要なら、アシスタントをしながら連載を目指すほうが、常にペンも握れて腕も鈍りませんし技術も得られますから、よほど有意義です。就職は、未だ腕がつたなくて漫画家になれるかどうかわからないけれど、仕事の傍らに趣味として描きながら腕を磨いて投稿を続けたいという段階の方にお勧めします。


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