【質問と解答】

Q:電子書籍の依頼を受けて担当編集さんがつき、現在2作目にとりかかっていたのですが、編集さんから連絡が来なくなってしまいました。先月末締切のプロットをメールで送ってから1ヵ月近く経ちますが、返事がまだ来ていません。今日までに、会社と携帯のメールに2通問い合わせていますが返信はありません。今まで、メールの返信は遅くとも1週間以内には来ていました。正直、見限られたのだと思い始めています。というのも、商業で仕事をするのは初めてということもあり、力不足ゆえプロットやネームの締め切りが間に合わず延長していただいたり、自分の都合でプロットを二転三転したりと編集さんの「大丈夫ですよ」という言葉に甘えて迷惑をかけていたからです。最後に送ったプロットも時間をかけてしまった上、出来が良かったとは思えないので、そういった事も関係しているのだと思っています。ただ、1作目の原稿料はいただいているし、そもそも配信するには、まとまったファイル(ページ)数が必要とのことなので、こんな中途半端な状況で見限られるということがあるのか疑問です。ちなみに、礼儀の面では失礼な態度をとった覚えはありません。今後仕事を依頼するに値しないと判断された場合、遠回しにでもその旨を伝えてほしいと思うのですが、実際そういったことはしないで、こんな風に見放されてしまうものなのでしょうか? 自分の何がいけなかったのかもわからず諦めざるを得ないことを悲しく思います。ご回答よろしくお願いいたします。




A:担当さんに直接事情を確認しないことには、何を考えようと憶測でしかないので、メールが駄目なら電話でなんとか本人を捕まえましょう。携帯の番号を知らないか、かけても出ないかであれば、会社のほうに電話して取り次いでもらうなりしてください。それでも捕まらない場合は、相手が故意にあなたを避けているということですから、見限られたのだというあなたの憶測が当たっていたということです。その場合は、相手の担当さんはあなたにすみやかに仕事依頼の打ち切りを宣告する義務があります。一方的に連絡を絶って関係をフェードアウトさせるというのは、一社会人としてもビジネスマンとしても非常に礼を欠いていると言わざるを得ません。
 ちなみに、電子書籍、電子配信の場合、出版社が運営するサイトを除けば、配信会社とコンテンツ制作会社(もしくは個人)は別です。あなたの担当さんは編集プロダクションの社員かフリー編集者かかわりませんが、いずれにせよ配信会社とコンテンツ(この場合は漫画作品)を納品する契約を結んでいる立場となります。新人漫画家を使う場合は企画から原稿完成に至るまで時間がかかりますから、発注元である配信会社からの発注の前に企画を先行して進めることもあるかと思います。そこで配信会社が経営難や経営方針の転換で発注数を減らしたり、延期したりすると、受注していた編集プロダクションやフリー編集者は漫画制作の進行を止めざるを得なくなります。原稿が完成しても原稿料を支払うめどが立たないのですから。そういう流れで配信会社からの発注連絡待ちをしているか、別の配信会社に売り込みをかけている最中なのかで、あなたに連絡をとらずに時間稼ぎをしている──という可能性もあります。
 詳細な事情がわからない以上、すべては根拠のない憶測です。単純に事故か急病でメールを見れない状況にある可能性もゼロではありません。まずは、メールが駄目なら他の手段で連絡を取る努力をする。それでも駄目なら、この電子書籍の仕事と担当さんのことはきっぱり忘れて他社に持ち込みなり投稿するなりしてください。