【質問と解答】

Q:自分の担当と話し合おうとしても、意思の疎通ができないというか支離滅裂で困っています。こちらが不安に感じたり不服に感じたことを言っても、結局は編集者さんのほうが考え方を妥協して譲るということはありませんので、毎回話は平行線です。お金を払っているほうは出版社のほうなので、もっともだといえばもっともなのですが、やはり編集者のほうも「条件にあわせるのは作家のほうで、なにか気にいらないことがあるのなら辞めていいですよ」と思っているのですよね? ここで言う不安や不服はスケジュールに関してとか、作品に対してとか、連絡に対してとか、すべてのことに対してです。結局のところ話し合うってことは、担当に「盲目的に従う」ということを意味しているわけですから(この時に従わなければ自分の方から辞めるか、編集部の方で切られるということになるのですから)自分にとって現状が良くならないなら話をすること自体、無駄なような気がします。それともこういう対応は自分だけで、ほかの作家さんは話し合いですべての希望は通らないにしても譲れる部分は譲ってもらっているのでしょうか。人気作家になればなるほど出版社の対応も良くなると思うのですが、駆け出しの自分は我慢して従うか、不満があれば他社へ行くということでしょうか? 実際に他の会社を紹介されましたので、そちらの仕事を受けることにしました。そしてこれは自分はいらないから他社へ行けってことだと思いました。もし私が編集者なら自社の必要な作家をよそに紹介したりしないからです。普通はいらない作家を紹介しますよね。紹介してもらった会社の編集者の方のほうが感じがいいし、仕事も大きなチャンスを頂いたのでこちらに全力で頑張りたいと考えています。でもこのあともなぜか担当さんは仕事をくれるのですが、これはどういう意味なのでしょうか? 2社とお仕事すると自分一人でできる範囲を超えるのでアシスタントをお願いすることになるので、費用・経費もかかりますし、紹介してもらった1社に絞ったほうが自分にはメリットがあるのです。なので今までのように対応できなくなるので辞めたいといっても、一番初めに書きましたように話し合いは平行線です。大体、担当さんは忙しいと言って事前に聞いていた予定日より4日もプロットの返事が遅れてもなんの連絡もないですし、こちらからメールで催促しても「スケジュールに余裕を持たせてスケジュール組んでください」と言われました。この人の紹介で2社とお仕事することになったのに、仕事が増えたことは知っているのにです。以前のように対応できなくなったからそちらも対応を変えてくださいと言っているのに、紹介先の仕事をセーブし自分のところに優先的に対応できるようにしろと言ってきます。折れて妥協してくれないので話は平行線なのです。これは私のほうで今までどおり対応できなければやめてくれって言われているのでしょうか? 担当編集者さんからは「やめろ」とは言わないのですか? 険悪になると原稿の返却を求められるから、面倒なので言わないのですか? 自分で察してやめればいいのですか? 私には担当さんの行動と言うことが矛盾してて支離滅裂に感じるので、編集者さんのお立場で本心を教えていただければと思いご相談させていただきました。




A:作家と出版社(あるいは編集プロダクション)は雇用関係ではありません。編集部サイドには原稿料やスケジュール等の条件や作品内容に関してのオーダーをする自由がありますし、作家サイドにも条件面で不服があれば仕事を受けない自由があります。両者に「ぜひ仕事を受けてほしい」「ぜひ仕事を受けたい」という意思があれば、条件面で互いの不一致があったとしても譲歩し合って解決できますが、関係を必要としているのが一方のみである場合は、一方が他方の条件を一方的に呑むことになります。そこで呑めない場合は関係は決裂するしかありません。
 ですから、担当さんの思惑がどうあれ、その編集部の仕事をやめるかどうかはあなたの判断次第です。担当さんの本心を聞かれても当人ではないですからわかりません。同じ編集者といっても仕事への取り組み方や指導の仕方、作家への対応などもそれぞれ異なる別の人格ですから。ただ、あなたの質問文のとおりなら、他の点はともかく、締め切りが決まっているのに連絡もなくプロットへの返事を遅らせたあげく帳尻合わせをすべて作家に押し付ける担当さんは、編集者失格──というより社会人失格だと思いますね。先に述べたように作家には仕事を選ぶ自由があるのですから、それほど不満を溜め込んでいるのでしたら仕事の依頼があっても受けずさっさと関係を絶ってはどうでしょうか。