【質問と解答】

Q:漫画の原稿を描く際の質問です。服のしわや髪型、雲や木等を描く際に、参考資料を見ながら描いても良いのでしょうか? 服のしわや雲や木に著作権はないと思うのですが。髪は、ジャンプした時の流れや寝転がった時などを、資料を見ながら描いたら著作権侵害になりますか? 写真をまんま描くのではなく、絵を描きながら細部がわからなくなったら、それらを資料を見ながら描くということです。資料はフリーではなく、描き方の解説がついたようなものです。
 また、背景資料を参考に、角度や構図、光、建物を変えれば自分の作品になる。というのをよく見ますが、どこからが改変なのか、参考なのかよくわからなくなりました。ある写真からスタートして、建物や構図を色々変えていくことは、改変行為にならないのでしょうか? 結果、全く違うものになれば良いということでしょうか…?
 あと、ファッション誌の服で、リボンやハートなどありそうな柄のセーターを見て良いなと思ったのですが、それを色はそのままに、セーターの形、柄とその配置を変えると問題になりますか? 全身のコーデも変える必要がありますか? セーターはどこかにありそうですし、コーデもありふれたものだと思います。また、芸能人の衣装は美術作品扱いでしょうか? ありふれたものなら、衣装であっても工業製品扱いで良いのでしょうか。




A:最初に断っておきますが、回答者は法律の専門家ではないので、回答が必ずしも法律的に正しいとは限りません。あくまで一編集者として長年の経験を元に一般的なケースの判断として回答しています。実際にはケースバイケースなので、商業誌掲載作品の場合は迷ったら担当編集者に資料写真と下絵を見せて判断を仰ぐようにしてください。編集者も迷うケースは、さらに出版社の法務部等に判断を仰ぐことになります。投稿作品の場合はそこまで神経質にならなくても大丈夫です。新人賞を受賞して作品が掲載されることになったときに、気になる点があれば担当編集に相談してください。
 さて、まず服のしわや髪型、雲や木などの場合ですが、参考資料が写真ならば問題ないと考えてよいです。ただし、資料元の写真と構図が全く同じではいけません。また、絵を参考資料としてトレースするのはNGです。まんまではなく、あくまで人体のあるポーズにおける服のしわの入り方、ある髪型と動きにおける髪の流れ方、雲を描写する時のトーンの削り方、木を描く際の質感のつけ方などの参考にするならかまいません。
  「角度や構図、光、建物を変えれば〜」という点に関してですが、厳密にはそれらも改変に当たります。しかし、写真対象自体に著作権がないものならば、客観的に資料元が特定できるような改変でない限り改変の事実は証明できないということになります。例えば、Aという人が撮った富士山の写真を角度や構図、天候を変えて絵にしたとしましょう。富士山には著作権がなく、誰でも好きな角度から写真を撮ることができます。すると、前記の絵はもはやAさんが撮った写真とは別物で、他のBさんでもCさんでも撮り得たカットということになります。行為としてはグレーですが、これを封じられると漫画の資料は自分が撮った写真以外は使えなくなってしまうので、黙認されていると考えてください。ですから、参考元を吹聴することはやめておきましょう。改変で問題になるケースというのは、構図をそのままに人物や物を配置しただけなどの部分的な改変で資料元が明らかに特定できる場合です。例えば、写真家の撮影した写真をトレースし、人物や車を描き加えただけ、というのは著作権侵害に加えて改変を行ったということになります。
 ファッションに関する質問についてですが、服のデザインにも意匠権はありますが、該当の行為については問題ありません。ただし、某アイドルグループが某曲を歌う時の衣装──という一般に認知されたデザインの場合は工業製品としての意匠権というよりキャラクター的な著作権が発生すると思われます。

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