【質問と解答】

Q:私はTLの隔月間の雑誌に短編の作品を描いています。
この雑誌でのデビューが私の漫画描き初めみたいなもので、漫画を描くということに関しては初心者でした。そんな状態でお仕事を貰っていたので、前担当さんには「投稿者の中では上手いほうだけどプロの中では下手」と言われていました。私自身、ベテランの先生ばかりの中で下手さは自覚もしていました。いつまでも下手なままで作品が掲載されることが恥ずかしいですし、私が上達することは雑誌への貢献にもなるだろうと、「持ち込み(直接ではなく郵送で)したら作品を見て貰えますか?」と聞いたところ、「見ますよ、下描きか原稿送ってください」と担当さんが言ってくださったので、まずプロットを送りました。前の担当さんには、プロットの書き方が悪かったのもあり、なかなか通らなかったので、その辺も教えて貰いたかったのです。その返事がこれです。

(メール本文は私信と判断し、プライバシーの観点から削除させていただきました)

 私としては当然女性目線で描いたプロットでした。その辺がちゃんとできているかどうか見ていただきたかった点です。主人公が男のどこを好きになったのか、いつ好きになったのか、相手役の男は主人公のどこの好きなのか、いつ好きになったのか、そこが女性目線だと思って入れたつもりでした。なのにどこが男性向けだと感じてしまうのか助言が 欲しかったのです。そしてそのようにメールでお願いしました。ですが一日考えてみて前述の担当からのメールは要約すれば「プロットなんか送ってくるな」というとですから、お願いしてもうざがられるだけだと思って、送ったメールは忘れてください、と再度メールしました。普段は雑誌に掲載する為にプロットをチェックするけど、プロットに凝るより漫画に凝れと書かれていますが、普段の雑誌は原作の人がついていて、私は一度もプロットのチェックは受けたことありません。私の担当なのに私のこと何にも知らないんだなと落胆しました。また、私が上達することはお互いのメリットになることなのに、なぜ教えてくれないのか訳が分からないし、多分自分のことをいらない作家だからうっとおしくてネームや原稿も、送ったとしても見るつもりなんかないんだろうと思えてきました。ちゃんと私に期待してるのなら、プロットも助言してくれると思えます。そうじゃないのでしょうか? 私の考えはおかしいでしょうか? 助言が貰えないなら、いろいろ教えて貰えないなら、掲載予定の無い原稿やネームを作るのは手間を考えるとバカバカしいです。それくらないなら別の編集部に送って可能性を試した方がいいように思えて…なので再度したメールにもそのように書きました。ついでに「自分の作品や力量に自信がないし下手だと自覚があるのならお仕事は受けないべきだと思う。雑誌の仕事があるから助言が欲しいと思うのだし、教えていただけないなら雑誌の仕事もしないし連絡はいりません」みたいな、自分からご縁を切るみたいなことも書いたのですが、これもおかしいでしょうか? なんだか自分の中で自分の出した決断に迷いがあってグラグラしているので、ご意見いただければと思いました。特に、担当さんが私のことをどのように評価しているのか知りたいです。評価していないからプロットは見ないと言っていると思うのですが…。よろしくお願いいたします。




A:質問文を拝見しましたが、どうもあなたは悪いほうへ悪いほうへと考えすぎて自分でマイナスの袋小路に入っているように感じました。
担当さんのメール内容はごくまっとうなものですし、むしろ好意的な内容だと思います。何もあなたを指導する気がないなどとは書いておらず、ネームか下描きで送ってもらえればちゃんと見ると言っているのです。担当さんも最初からそう言っていたではありませんか。それに対してあなたはネームではなくプロットを添削してほしいという話をちゃんとして、相手にも納得してもらいましたか?
また、普段は雑誌に掲載するために雑誌の内容や今の流行りなどに合っているか見るためプロットをよく見せていただき〜との返事に、「自分のことは何も知らない」と判断したようですが、ここでの普段とはあなたのことではなく一般論を言っているのでしょう。担当さんもちょっと言葉足らずで誤解を生んだようですが、あなたもマイナス思考に陥らず冷静に考えてみれば自分の担当が自分とのやり取りをまったく覚えていないなどということはありえないと気づいたはずです。
そして、もう一つ考えてほしいのが、そもそも担当さんにお願いしたのは漫画力の向上のための指導ということだったはずです。担当さんが一般論として述べているように、プロット出しは企画力を問うもので、漫画力とはまた別のものです。プロットはその内容さえ誤解のないよう伝われば、別に文章を巧みに書く必要はなく、漫画力の指導を受けたいのであればネームでないと意味はありません。また、「掲載予定の無い原稿やネームを作るのは手間を考えるとバカバカしい」というのは、自分が漫画が下手だからその向上のための指導を願い出たことと矛盾します。漫画力を鍛えるための練習を「手間」というのはいかがなものでしょう。むしろ、掲載予定のないネーム練習に付き合うと言ってくれた編集さんに感謝すべきなのではないでしょうか。プロとして雑誌掲載用のオリジナル企画を提出したいのであれば、自分が漫画が下手なので見てもらいたいなどと言わず、最初から企画用プロットとして提出すればいいのです。ただし、雑誌掲載用企画であれば、見る目は厳しくなります。プロットで駄目と判断された企画は、大抵の場合一から練り直しで、小手先の手直しをしようが駄目だと考えてください。
いずれにせよ、今の雑誌には自分から縁切り状を叩き付けた感じになってしまったわけですから、別の雑誌で再出発することになると思いますが、その際には今回のように一時の感情で行動しないよう心がけましょう。どうも、あなたはマイナス思考に陥ると視野狭窄になって他の可能性が考えられなくなってしまう傾向があるように見受けられます。カッとなったら、行動する前に一晩置いて頭を冷やし、もう一度誤解や互いの認識の齟齬の可能性を考えた上で、相手の真意をまず確認するようにしましょう。その場合、メールのやりとりだと同じように誤解や齟齬を生むこともありえますので、疑問点や納得のいかないことはその場で尋ね返せるように電話で直接会話するようにしてください。