【質問と解答】

Q:各編集さんが受けもつ作家が連載になったりならなかったり、打ち切りになったりヒットしたりするわけですが、そうなるとたくさん連載作家を抱える編集さんと、ほとんど連載作家のいない編集さんが発生する可能性があると思うのです。そういう場合は編集長の指示で、前者の編集さんは思い入れの少ない作家を後者の編集さんに、言い方は悪いですがおすそ分けすることになるのでしょうか? 後者の編集さんは成績が悪いという理由で異動になったりしないのでしょうか? 自分は頼れる編集さんと二人三脚でよりおもしろい作品を世に出したいと思っているので、そういう内部事情がとても気になります。




A:確かに編集部内で担当本数のバランスが悪くなった時には、編集長が調整にはいることがあります。編集者は連載を担当しながらも新しい企画の仕込みを何本も並行して進めていますので、時にはそれらの立ち上げ時期が重なってキャパシティを超える本数を抱える事態も生じます。一方で作品の人気や作家サイドの事情などで連載終了が重なり、仕込みも熟していない時期で担当作品がなくなる場合もあります。また、新入社員や他部署から異動してきたばかりの編集者には当面担当がありません。そうしたときに編集長が担当替えを行います。また、出版社では定期的に異動が実施されますが、新規連載をなかなか起こせなかったり作品の成績が悪かったりするのも異動の理由となりえます。これは何もその人の能力が低いということではありません。漫画でなく報道や実用書や小説向きの編集者もいるでしょうし、場合によっては編集者ではなく営業のほうに適性があることもあります。そうした、適材適所に人員を配置するための人事です。
 さて、どういう基準で手持ちの担当作品を他の編集者や新人編集者に委ねるかですが、これに作品への思い入れのあるなしはほとんど関係ありません。自分の担当作品にはすべて思い入れがあるものです。本当なら全部自分で担当し続けたいというのが本音です。ですが、やむをえず一部の担当を他の編集者に委ねなければならなくなった場合には消去法で作品を選択します。まず、新人作家で連載開始したばかりの作品は担当が変わることでかなりの混乱が予想されますから人には任せられません。任せられるのは、連載が長期に入って安定している作品です。また、作家でいうと、どの編集者が担当になっても上手くやっていける性格のいいベテラン作家は担当替えが多くなる傾向があります。編集者を育てるタイプの作家で、新入社員にも安心して担当を任せられます。以上は、編集長から打診された時に担当作品を委譲することになった編集者としての考えですが、実際には編集長が事前に担当に諮ることなく半ば決定事項として通達する場合も珍しくありません。

その他のご質問は、フォームからお願いします。