【質問と解答】

Q:僕は現在、高校を卒業をして2年、フリーターをしながら読み切り作品をたまに増刊に掲載している、デビューはしたものの未だ漫画家とは名乗れない投稿者のような身分の者です。将来にかなり不安を覚えています。それでも、糞これっぽっちもないかもしれないですが自分の才能を信じ、いつか必ず‥‥と思って一本一本与えられた仕事に臨んでいるつもりです。しかし、漫画家としての未来が開ける兆しが何もありません。僕が一皮むける為には、どうすればいいんでしょうか。 映画や小説、舞台やコンサートなど、そういうものを研究したりするべきなのでしょうか。こういうのは担当さんに話すべきなのかもしれませんが、冴えない新人(でも情熱は本当にあります、漫画の描き過ぎで死ぬのが将来の夢です)へ、編集者さんの長年の経験からの助言をどうかお願いします。




A:どんなストーリーでも器用に作れるし絵もそこそこ描ける、けれども連載の決め手に欠ける万年連載予備軍──あなたと同様の立場で悩んでいる方は大勢います。たくさんの読み切りを描いていく中でうまく当たり企画を生み出せればいいのですが、現実にはなかなか難しく、そうこうしているうちに後から後から新人が入ってきて読み切りのコンペも通りにくくなっていきます。  そんな「代えのきく漫画家」(嫌な言い方ですが)にならないためには、とにかく自分の「武器」を持つことです。「武器」については、2011年7月18日の二つ目の質問の回答でも触れていますのでご覧ください。また、「武器」といえば「長所」というイメージですが、「こだわり」もまたとことん極めれば武器となります。ガンアクションが好きならば100本のガンアクション映画を、チャンバラが好きならば100本のチャンバラ映画を観ればちょっとしたオーソリティになれますし、そうなれば作品にも生かせるし編集者からも一目置かれます。そうなると、編集部の中でもこのジャンルならこの作家と認知されるようになります。そうなると、雑誌において特定ジャンルを重点的に強化する場合に、そのジャンルを得意とする作家として認知されていれば起用の声がかかるようになります。例えば、雑誌でスポーツものを強化したいからサッカー好きのAさんで新連載を起こそうとか、某有名ガンアクションゲームをコミカライズするのでガンアクションの得意なBさんを起用しようとかです。さらに、作品発表を重ねて他誌の編集者からも声をかけられるようになればしめたものです。ホラーを武器にしていれば、「今度ホラー雑誌を創刊するのですが執筆お願いできませんか」とか、萌え系の絵柄を得意としてれば、「萌え系アンソロジーの企画があるので是非参加してください」とか話が来るようになります。努力しても誰もが「武器」を手に入れられるとは限りませんが、「武器」を手にしてオンリーワンとして認知されるようになれば、万年連載予備軍から脱却して「求められる漫画家」への道が開けるでしょう。

その他のご質問は、フォームからお願いします。