【質問と解答】

Q:以前、出版社の方にストーリー構成と画力は悪くないが、人間の感情が描けていないと言われました。普段の生活でよく人間観察をするようにしていますが、本物より本物らしい人間を描くとはどういうことでしょう。


A:現実の世界での人間観察は作品作りの中で大切ですが、そのモデルを自分の作品のキャラクターに反映させるためには、 自分の想像力でその人の内面を補ってやる必要があります。他者を観察するとき、感情表出や行動の一面しか切り取って見ることができませんが、そこには感情や行動の原因と、感情を導いたり行動に至ったりするまでの内面の心の動きがあります。
そして、キャラ クター一人一人の心の動きは、個々の性格や経験によって変わってきます。それが、その人「らしさ」なのです。
このキャラクターの自然な感情の動きを「感情導線」といいます。虚構の中でキャラクターに「本物らしさ=リアル」 を求めるということは、現実そのものを描くことではなく、「自然=ナチュラル」に描くことなのです。
そして、このキャラクターならこの場面ではこういう反応や行動するという積み重ねが、キャラクターに存在感を与えます。 スト ーリーの都合に合わせてキャラクターを動かすのではなく、それぞれの感情導線に従って行動するキャラクター達をストーリーという舞台に上げてやることで、本物らしい人物を描くことができます。

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