【質問と解答】

Q:漫画原作者を志望している者です。書き始めて3ヵ月という乏しいキャリアで応募した某青年誌で奨励賞を受賞しました。最終候補に挙がった段階で担当編集さんから電話を頂き、キャリアの乏しさなども包み隠さずお話しました。私自身が不良グループに所属していた話やそこから大学に進学した話などには興味を持って頂いたようでした。その時は「もう一度電話します」と言っていたのですが、その後連絡はなく、 受賞自体も誌面で初めて確認しました。そこで電話したところ、「違う企画の担当をしていてご連絡できませんでした。すみませんでした」と丁寧に対応してくれ、口座にもすぐ入金がありました。しかし、その際「あなたの作品を誌面に載せるかは今の段階では保留です」と言ったきり何の連絡もありません。この方を判断しかねています。名刺を送ってくれた以上(携帯もメルアドも載 っていました)、何かしらの期待はしてくれていたのでしょうか? 賞金も新人賞の奨励賞レベルにしては比較的高額だと思うのですが……。今後、作品を作る上でこの方についていって良いものなのでしょうか? あまりにこの世界について無知なため、お教え頂けませんでしょうか。

A:初めに確認しておきたいのですが、その編集者が担当になったのはどの時点でしょうか? 持ち込み段階でたまたま応対した編集者がそのまま担当になったのでしょうか、それとも作品が最終候補に残った段階で選考途中にもかかわらず連絡してきてくれたのでしょうか。前者でしたらなりゆきで担当になって通り一遍の対応をしているだけという可能性もあります。連絡がついたときに早い段階で、本当に自分を評価してくれているのかどうか真意を問いただしたほうがいいでしょう。その回答に納得いかなければ、早々に見切りをつけるという判断もあります。ただ、他誌行きを考慮するとしても編集部とのパイプは持っておいたほうがいいので、こちらからは付き合いを断たないほうが賢明です。
 後者でしたら、あなたの作品を気に入ってくれたということは確かでしょう から、こちらから電話やメールをして次回作の打ち合わせをしながらしばらく 様子を見てください。それでもあまりに連絡が滞るようでしたら、他誌への投 稿も視野に入れましょう。受賞作の掲載については、奨励賞レベルの原作を漫 画家に描かせて誌面に掲載するというのはほとんど考えられないので、あまり 期待しないほうがいいです。
 その雑誌の方針がそうということではなく一般論として聞いてほしいのです が、漫画家志望者と違って原作者志望者に対しては編集者はほとんど育成に手 を割けないのが実情です。漫画の場合は投稿段階で完成度が低くてもある一点 光るものがあれば評価し、担当がついて指導します。しかし、原作の場合は投 稿段階でほぼ完成していないとまず使い道がありません。原作専門の編集者と いうのはいないので、どうしても原作者志望者より新人漫画家や漫画投稿者に 対する指導が優先されてしまいます。即戦力でなければ原作者を育てるより漫 画家を育てるほうが早いですから。つまり、原作賞への投稿は原作企画の持ち 込みと同じ性格を持ち、極論すれば採用されるかされないかの二択なのだとい うことです。漫画原作者は作画の苦労がない分、より狭き門だと考えてくださ い。

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