【質問と解答】

Q:レディース・ティーンズラブの分野でデビューさせていただいて一年と少しが過ぎました。この間、多少なりともお仕事をいただいて、担当の編集者とやり取りをさせていただきました。そうした交流・打ち合わせの中で、一般的な編集者という方がどういう方なのか、どういう考えをするのか知りたくなりました。ご回答いただけましたらうれしいです。というのは、自分の相手の担当者がナニを思ってそう言って下さるのかわからないことがあるからです。たとえばここの相談事の回答ですが、これは編集者としての建前なのかなぁ…本音は違うのかも…と邪推したりしてしまいます。

 1)ここに回答として書かれていること、特に編集者は漫画家や投稿者の味方というのは本心でしょうか? 

 2)編集者って、新人と打ち合わせしている時、不本意や思いやりだったり色々なケースがあるでしょうが、嘘ってつかれる事ありますか? ネームの感想を聞いてもたいてい「面白かったですよ」と言われますが、面白くなかったと言えば作品を描くテンションが下がりますし、作家を気持ちよく仕事させる為の嘘をついたりとかなさいますか? 

 3)また逆に、要らない新人を断るために、「今は忙しいからプロットは見れない」とか、遠まわしに言ったりしますか? 

 4)自分がどのように評価されているのかは、編集者のどういった言葉でわかりますか? 判断できますか?

A:編集者と言っても、何も特別な人種であなたと異なる思考回路をするわけではありません。あなたや周囲のお友達のように一人一人個性を持っており、ある人の言動や思惑を他の人にそのまま当てはめるというわけにはいきません。それを踏まえた上で回答を読んでください。

 1)厳密に言えば、「担当編集者は」です。作品を評価しその作家に可能性を見出した編集者が担当になるのですから、担当になった時点でははっきりと編集部随一の作家の味方です。ただし、この関係を維持しより緊密なものにできるかどうかは、担当編集者・作家双方の努力が必要です。編集者にとって作家はビジネスの関係ではありますが、期待や憧憬といったそれ以上の感情や、そこからくる「この才能を世に出し広く知らしめたい」という使命感も持っています。しかし、感情は人間関係に左右されます。作家のほうから、編集者は出版社サイドの人間だからと敵意を見せると、相手の心は離れていってしまいます。友好な関係を維持していれば、仮に編集部や出版社との軋轢が起こった際にも、担当編集者だけは作家寄りに立ってくれます。
 一方で、同じ編集者でも漫画編集業務についてのモチベーションはひとそれぞれです。というのは、出版社の正社員に多いのですが、漫画編集部を希望して配属された編集者ばかりではないのです。報道やファッション、文芸の編集部を希望しながら、漫画の編集部に配属される社員もいるわけです。そこで漫画編集の面白さを見出し、モチベーションを築ければ問題ないのですが、結局なじめないまま漫画編集者を続けることになると、本人・作家双方にとってよくない結果をもたらします。
 また、編集者は会社員ですから異動というものがあり、新たな担当がつくことがあります。この場合、新たな担当は必ずしも最初から味方とは言えないかもしれません。最初からの担当と異なり、担当希望するしないにかかわらず機械的に担当が割り振られるのが普通だからです。相手を観察しつつ、味方に引き込む努力をしてください。自分の作品が好きではなく、この先も味方になってくれそうにないと判断したら、担当を替えてもらうよう働きかけをしたほうがいいでしょう。

 2)作家のテンション維持のために本当の評価以上に持ち上げることはあります。ただし、まったくの嘘偽りではなく、作品の欠点を並べ立てるのではなく、長所をピックアップしてほめるわけです。いわゆる「誉めて伸ばす」方式ですね。角を矯めて牛を殺す、のたとえもあります。欠点をなくすことに躍起となるより長所を伸ばすほうが、作家としての成長につながることが多々あります。もちろん、相手の性格や理解力、漫画家としての実力に応じて対応しなければなりません。漫画の基礎知識が欠けている投稿者にはひとつひとつそれを指摘してやる必要がありますし、すぐ増長するタイプの新人には現実を認識させてやらないと努力を怠り成長がそこで止まってしまいます。

 3)私はありませんが、そういう人もいるかもしれませんね。でも、本当に忙しいのか、避けているのかは判断しがたいでしょうね。まあ、次の約束もなく5回くらい続けて同じ理由で返事を延ばされれば、さすがに避けられていると判断せざるを得ないでしょう。

 4)これは言葉だけではなく、口調、表情、仕草などから総合的に判断するしかありません。また、その判断の正確さはあなたの人生経験次第と言えます。

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