【質問と解答】

Q:少し不思議なことがあります。印税についてです。単価の10%というのはわかりますが、たとえば500円なら50円。原作者がいる場合などは漫画家7原作者3と聞いています。しかし、これだと初版5000部程度刷っても貰えるのは学生のアルバイト程度。と、いうことは数万部以上刷らないと生活できませんよね。というかメガヒットを飛ばさない限り、プロでも生活できません。しかし、世の中にはそれほど知られてない漫画家さんや原作者さんでも、ちゃんと事務所を持ち、子供までいたりします。アルバイトや異種業の仕事をしてるように見えない方々がいま す。初版売り切りというのがあるとも聞いてますが、相当小さな会社でない限り、 ちゃんと2版3版とすぐに刷ってくれてるんでしょうか? どうして生活できてるんでしょう?

A:漫画の場合、描き下ろし単行本でもない限り、通常は雑誌掲載されたものがまとまって単行本となります。雑誌掲載時には原稿料が支払われますので、単行本の印税はいわばボーナスのようなものと考えたほうがいいでしょう。週刊連載だと年に4冊、月刊連載だと年に2冊というのが平均的な単行本発刊ペースですが、メガヒットでなくとも部数が2万部出ていれば原稿料と合わせて普通に家族が生活できるくらいの収入があるはずです。なお、「それほど知られてない漫画家さんや原作者さんでも」と言いますが、あなたが知らなかったり世間一般には知名度がないと見られていても単行本5万10万部クラスの漫画家や原作者さんならざらにいます。また、1作の部数は少なくても数本連載を持っていてトータルではかなりの収入がある方もいます。
 さて、重版に関しては、それを予測して生活設計することはできません。はっきりと調べたわけではありませんが、おそらくコミックスの発行点数の8割は重版がかからないと思われます。発行した単行本の在庫がなくならないと(あるいは書店からの追加注文で在庫が底をつく予測が立たないと)重版というのはかけられないのですが、在庫がなくなるどころか実売率が50パーセントに満たないタイトルもたくさんあります。ちなみに実売率が50パーセントに満たないと出版社も赤字になりますので、次の巻は部数を大幅に下げるか、初版予想部数があまりに低く完売しても赤字になる場合は刊行中止になることもあります。重版は、かかればラッキーというくらいの認識でいてください。
 なお、「漫画家7原作者3」という比率はどこで聞いたのか知りませんが、ケースバイケースで様々です。小説原作だと「6:4」「7:3」「8:2」が多く、描き下ろし原作の場合は「5:5」のケースが多いです。また、漫画家や原作者の格によって比率が変わり、描き下ろし原作であっても「6:4」「7:3」、あるいは逆に「4:6」の場合もあります。

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