【質問と解答】

Q:私は漫画原作者を志望しています。とある指南書には「漫画原作者に求められているのは専門性である。オタッキーな話は漫画家一人で描ける」とありましたが、最近は特に専門的な内容ではない漫画、それこそオタッキーな漫画にも原作者がいるのを見かけます。専門性がなくても、面白くて売れそうな原作なら連載されるのですか? それともそういった漫画は特例で、やはり原作者には専門性が求められているのですか?

A:その指南書で述べられているように、原作者には「専門性」が求められることは、今でも基本的には変わりありません。ただ、確かに昔に比べいわゆる「オタッ キーな漫画」で原作者を使うことが増えてきているのは事実です。小説原作やゲーム・アニメとのメディアミックス先行企画以外で「オタッキーな漫画」で原作者を使うケースには2種類あります。
 ひとつはアニメやゲームのシナリオライターを原作者に据えるケースです。こちらは昔からあるケースなのですが、シナリオライターの知名度の高まりにつれて最近は数が増えてきました。原作者の知名度がセールスに結びつくのも理由の一つですが、主な理由は、現場で磨かれたストーリー構成力、キャラを立てる力、エピソードを作る発想力、経験や人脈を生かした取材力、洗練された台詞回しやライブ感のある掛け合いなど、新人漫画家の及ばないところを補ってくれるからです。また、キャリアのある漫画家にとっても、別のジャンルにおいて第一線で活躍している才能とのコラボレーションは新たな刺激となり新境地と言える作品を生み出すという期待があります。
 もうひとつはここ最近出てきたのですが、ネームを切る力がまだ未熟だが魅力的な絵が描けるイラストレーターや同人誌出身の作家を即戦力として起用するために、ネームを編集部が用意するケースです。この場合の原作者は、原作をネーム(絵コンテ)の形で書く「ネーム原作者」の場合と、さらにシナリオ原作者とネーム構成者に別れる場合があります。後者のネーム構成者はネームを切れない作画者のためにシナリオ原作をネームに起こす役割で、大抵売れていない新人漫画家が行い、原作者としての権利もありません。
 いずれにせよ、「オタッ キーな漫画」の原作者というのはそれを目指してなるというものではありません。漫画原作者を目指すなら自分の「売り」がないと、多性構成力があったり文が上手くても、それだけでは良くて下請け構成ライター扱いされてしまいます。


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