【質問と解答】

Q:11月3日にも質問させていただいた者です。お答えの中に、「『ワンピ ース』のルフィは『ドラゴンボール』の悟空と同系統の主人公タイプではありますが、尾田栄一郎先生は独自の個性をちゃんと作り上げています」とありましたが、たとえば悟空とは違った、ルフィならではの新たな魅力とはどういった部分なのでしょうか。また、「王道のキャラに新たな魅力を加える」とは、どのようにすればいいのでしょうか。もし上記以外で主人公作りのアドバイスをいただけたら、よろしくお願いします。かなり細かく突っ込んだ質問になってしまってすみません。本当に今、主人公のキャラ作りで頭を悩ませてるので、お願い致します。

A:質問文にある作品の1本は現在継続中でもありますので、評論サイトではないここでは具体的なキャラ分析は避けさせていただいて、一般的な主人公キャラ作りの要諦を語ります。
 キャラを、ビジュアル、特性、対人、意識の4つの要素に分けて考えてみましょう。まず、「ビジュアル」というのは、キャラクターの顔、身体的特徴、衣装、装備アイテムなどです。王道少年漫画の主人公キャラといえば、シルエットでキャラが判別できるほど様々な「記号」を持っています。その「記号」さえつかんでいれば、小さな子供でも簡単にキャラのイラストを描ける、そんなわかりやすいビジュアルが要求されます。
 次に「特性」ですが、性格、能力、言葉遣い(しゃべり方)、弱点、性癖などです。キャラ作りの際、一番力を入れなければならないポイントです。装備アイテムに特別な能力があれば、それもここに含まれます。
 次に「対人」。主人公キャラが他のキャラに対したときのスタンスです。キャラを立てる際、キャラ単体だと立て難く、他のキャラとのからみによってはじめてキャラが立てられます。その時、キャラの対応の仕方によって読者に与えるキャラの性格を印象づけることができます。ですから、こういう相手にはこう対応、この相手にはこう対応と、あるいは誰彼構わずこういう対応とあらかじめ主人公の対応フォーマットを決めておくのです。これが明確でないと、 主人公のリアクションや対応がブレたものになってしまい、「らしさ」が薄れます。
 最後に「意識」ですが、これはキャラの「行動原理」と「目標や願望」に分けられます。前者は「こういう状況では主人公はこう動く」というフォーマットです。こんな時、主人公ならこういう行動に出てくれるはず、という期待感に結びつきます。こうした主人公の行動予測を読者にさせるのは、先の展開が読めるという諸刃の剣ですが、そこは演出や構成といったキャラ作りとは別の部分で解消していきます。「目標や願望」は日常コメディだと1話限りのもの が多いですが、王道冒険ものだと作品全体を貫く主人公の目的となり、主人公の意識や価値観もそれに向けられます。
 あとは、以上述べたキャラ作りの要諦を既成作品の主人公キャラに当てはめて自分で分析してみてください。何人かのキャラの分析をしていけば、キャラ作りのコツが自ずと飲み込めてくるでしょう。


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