【質問と解答】

Q:10月23日の質問と重なる部分があると思いますが、主人公についてお聞きします。私は現在某少年誌で担当者の方にネームをみていただいてます。よく「主人公にヒーロー性がない」と言われます。今現在主人公の作り方に四苦八苦してる最中ですが、編集部の方は「新しいもの」を求めてると言います。ドラゴンボールの悟空やワンピースのルフィは、明るい、純粋、強い、仲間思い、など王道的キャラだと思っています。でももしこういったキャラを新人が描くと、キャラが古い、ということになってしまうのでしょうか? 私個人としては、古くても、悟空のような王道キャラは一番読者に好かれると思うのですが・・・。

A:あなたのおっしゃるとおりです。「王道」というのは万人が求めるからこそ王道なのです。10月24日の「尖ったキャラ」の回答について触れていますが、あれは質問者の方の担当編集者がそう求めているという話で、すべての編集者の意見ではありません。また、その担当編集者も個々の漫画家のタイプに合わせて指導しているのでしょうから、他の漫画家には王道キャラを求めているということもありえます。
 野球の投手にたとえてみると、すべての漫画家が王道キャラを使いこなす 「本格派投手」向きとは限りません。尖ったキャラも含めた変化球的なキャラを主役に据えた「軟投派投手」もいれば、構成の妙でキャラを浮かび上がらせる「技巧派投手」もいるわけです。編集者は漫画家とネームのやりとりをする中で、その漫画家にはどういうキャラが向いているのか探りつつ指導している のです。
 また、一概に「王道」キャラとはいっても一様ではなく、そのキャラならでは個性とそれに伴う魅力を持っています。『ワンピース』のルフィは『ドラゴンボール』の悟空と同系統の主人公タイプではありますが、尾田栄一郎先生は独自の個性をちゃんと作り上げています。そういった意味での「新しいもの」は編集者も当然求めています。


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