【質問と解答】

Q:版権という言葉をよく聞きますが、いまひとつよく解りません。雑誌に掲載してもらった投稿作の版権を取り戻す、ということは可能なのでしょうか。それとも原稿を返してもらえればそれで終わり、ということなのでしょうか。

A:「版権」という言葉は、かつては図書に限定した著作権を指す法律用語でしたが、現在においては正式な法律用語としては使用されていません。しかし、一般表記として今なお、図書以外の著作物に関しても著作者財産権(複製権、頒布権等)を利用したビジネスを表現する際などに慣例的に使われています。少し難しい言葉を使ってしまいましたが、質問内容にある「投稿作の版権」という場合、通常は著作権の中の一部である出版権のことを指します(賞によっては商品化権や映像化権を含む場合もあります)。つまり、「投稿作の版権は出版社が所有する」という表記がなされていても、あなたが著作権者であるという事実は変わらず(これを法律的には著作者人格権といいます)、単に出版する権利を出版社に貸与しているにすぎません。もちろん、著作権者であっても出版権所持者に無断で当該の著作物を頒布したり、他者に出版させる契約を結ぶことはできないわけですが、大抵の新人漫画賞においては出版社と受賞者の間で正式な出版契約書を取り交わすことはないので、それほど厳密なものではありません。漫画の新人賞受賞作というのは、小説などの新人賞受賞作とは異なり、それ単体でビジネスに結びつくことがないためでしょう。ですから、あなたが将来他社で作品集を出したり同人誌を作ったりする際に新人賞の投稿作・受賞作を収録したいと考えたとき、別に版権を取り戻すなどと大げさに身構えなくとも、編集部に電話1本入れて話を通すだけで済みます。もち ろん原稿も返却してもらえますので、ご心配なく。


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