【質問と解答】

Q:べテランの漫画家で、「原稿料が高過ぎると使いづらい作家になるので、原稿料が上がるのをストップして貰ってる作家がいる」というのを聞いたことがあるのですが、どのように「使いづらくなる」ということなのですか? また、原稿料が高いとなぜ使いづらくなるのですか? それと、そういうプロの方は相場として大体1ページいくらくらいでストップして貰っているものなのでしょうか?

A:「使いづらくなる」というのは、単純にコスト的な問題です。ページ1万円の原稿料の作家が40Pの読み切りを描いた場合は原稿料の総計40万円であるのに対し、ページ2万円になると総計80万円の支出になるわけです。つまり、前者は後者より40万円支出が多くなるわけです。漫画雑誌の編集部も会社組織の一部署である以上、予算というものがあり、その中で原稿料のやりくりをしなければなりません。原稿料が高くても、数字を出している−−つまりコミックスの売り上げ実績があったり雑誌の売り上げ増につながる牽引力がある作家さんならばいいのですが、原稿料が高いのに数字を出していない方だと「原稿料が高いのにあまりコミックスが売れない漫画家さんにページを割くよりも新人の将来性に賭けたほうがいいんじゃないか」と、リストラの対象になるということですね。もっとも、このような原稿料を雑誌経営面で考える必要があるのは編集長クラスで、現場の編集者はこの方は原稿料がいくらいくらだから描いてもらおうとか、いくらいくら以上なら声をかけるのをやめようとか考えて作家さんと付き合っているわけではありません。
 実際に原稿料アップを自分からストップしているというケースはあまり多くはないと思います。主に大手出版社相手に仕事をしている作家さんではほとんどないでしょうし、中小出版社相手の仕事が多い方でも自分からアップを辞退するケースはあまり聞きませんね。金額については、その作家さんが主に仕事をしている雑誌の経営事情や雑誌内でのその作家の格(評価)によって異なりますので、一概には言えません。何はともあれ、デビュー前や新人のうちからこういうことを心配するのは早いです。


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