【質問と解答】

Q:少年漫画家志望です。二十歳も近づき、本格的に投稿を始めたいと思います。しかし、三ヵ月前初めて漫画を原稿用紙に描き投稿しましたが、あまりの画力のなさに愕然としました。全体的な画力もさることながら、老若男女のキャラが思うように描けません。気づけば今まで主人公格の同年代しか描いてきませんでした。模写に徹すればその作家の影響をおおいに受けそうであり、年齢的にもう自分で投稿作を描き重ねる中で画力を向上させたいのですが、人物が安定しないと、形にしても満足できる気配がなく、焦燥にかられています。
 そこで、どのような練習法をとればよいでしょうか。近道はないと思いますが、できるだけ良い鍛錬をしたいです。
・とにかく下手でも投稿作を何作も描き重ねる
・プロの単行本1冊まるまる模写し、完成させる
・描き慣れして自分のスタイルを掴むまでラフで研究
以上が考えた選択肢です。これ以外にもアドバイスありましたらお力添えお願いしたいです。画力の向上は努力次第だと肝に銘じていますので、厳しいくらいのご意見よろしくお願い致します。


A:老若男女を描き分けるには、人体の構造、性別による骨格の違い、年齢変化による骨格や肉付きの変化を知っておくといいです。2008年7月5日の質問への回答で紹介した美術解剖書と『やさしい人物画』『やさしい顔と手の描き方』(マール社)、『スーパーデッサン 人物』シリーズの「(1)顔・からだ篇」「(3)顔と手の表情篇」(グラフィック社)が参考になると思います。どれも漫画用の技法書ではありませんが、知識として身につけておけば漫画を描く上で応用が利く内容です。
 また、漫画としての表現技術をスキルアップするにはプロの漫画の模写は大いに勉強になります。人物の表情のつけ方や、人体の各パーツのデフォルメ、スクリーントーンやスミでの影の入れ方、背景の表現など、漫画ならではの技法がたくさんあり、それを研究し学び取る手段として有効です。もちろん、次の段階では自分自身の絵に学び取った技術を応用していかねばなりません。
 技術が未熟なうちは無闇な多作はやめましょう。一コマ一コマ考えながら丁寧に描いていけば、実際そんなに多作はできないはずです。プロとしては速さは力ですが、画力向上を課題としている投稿時代は、速さよりも丁寧さ・正確さを重視して技術の底上げを図ってください。コマ割り、構図、デッサン、仕上げ??どれも現在の自分の持てる知識と技術を最大限に生かすことはもちろんですが、その過程において「このコマ割りはちゃんと見やすいのか」「もっと上手い見せ方はないか」「デッサンがおかしくないか」「ここはこのトーンでいいのか」「このベタの入れ方で画面のバランスはいいか」と十分考え抜いて描くということが大切です。漫然とたくさん描くのではなく、考えて描く積み重ねが画力向上につながるのです。


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