【質問と解答】

Q:連載することなくいきなり単行本として出版される作品を目にしたことがありますが、どのような経緯を辿ってそうなるのでしょうか?

A:次の2通りのケースがあります。

 1)企画ものの描き下ろし単行本の場合
 映画の公開などに合わせて短期間に勝負をかけたいタイトルの単行本。ゲームなどの描き下ろしアンソロジー単行本。時事的なテーマを扱った単行本。特定の企業や団体の広報活動的側面をもった単行本。これらは、企画として単行本セールスが期待できるものの、単行本の発売時期が重視されるために雑誌の発売スケジュールにのせて連載することが困難だったり、対象読者が限定されるため雑誌連載に向かなかったりするものです。また、掲載する漫画雑誌自体を持たない出版社がこの手の企画もの漫画単行本を刊行する場合もあります。ゲームアンソロジーについては、作品タイトルとしては強くても連載に向かなかったり、メーカー側が原作ストーリーそのものをコミカライズすることを望まない場合や、出版社側が連載に足る力を持った漫画家を押さえられなかった場合などがあります。

 2)同人作家や海外作家の作品の単行本化の場合
 漫画雑誌を出していなかったり、出していても少ない小さな出版社が同人出身の有望新人や海外の作家の単行本を刊行するケースです。同人誌発表作や本国のヒット作をそのまま単行本化する場合もあれば、描き下ろし作品の場合もあります。大部数の売上は期待できなくとも、コアな漫画ファンがつ きそうな作家をピックアップするスキマ商法的なものですが、士郎正宗氏の商業デビュー作となった『アップルシード』のようなヒット作も生まれています。


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