【質問と解答】

Q:話は面白いのにキャラが立っていないって言いますね? これはキャラが目立たない・・魅力が無いとか・・。どういうことを指すのか教えてください。

A:漫画のヒット作を思い浮かべるとき、ストーリーよりもまずキャラクターの顔が思い浮かびますよね? 映画やTVドラマもキャラクターを立てることは要求されますが、俳優という個性が介在しない分、漫画創作においてはキャラクターの比重が大きいのです。つまり、漫画ではキャラクターあってのストーリーと言っても過言ではないでしょう。ですから、「話は面白いのにキャラが立っていない」というのは、私はありえないと考えています。ドラマが成立するのはキャラクターあってのことですので、そこで「話」というのはドラマのことではなく、ネタや素材を指してのことなのでしょう。ネタや素材は面白いのに主人公のキャラが立っていなければ、そのストーリーの中での主人公は別のキャラクターであっても成立してしまうことになってしまいます。映画で、単にストーリーを見せるだけなら俳優は誰でもいいわけで、監督は配役に悩む必要はありません。しかし、「この役は彼女にしか演じられません」と、ある女優を主役に指名する場合、監督の頭の中には彼女が演じる主人公像の明確なビジョンがあるのです。監督の中にある、他の誰でもない、その女優でなくてはならない理由、それが役柄に命を与える「個性」です。漫画でキャラを立たせるというのは、つまりこの「個性」を与え、それを読者にアピールするための演出をすることです。キャラクターの個性はビジュアル(キャラクターデザイン)、性格、言動から構成され、それぞれが密接に結びついて「キャラクタ ー」を成立させます。そして、ひとつの作品の中で、それぞれのキャラクターは「区別性」と「一貫性」を持たねばなりません。前者は「キャラがカブらない」ということであり、後者は「キャラがブレない」ということで、講評などでよく目にする表現でしょうから詳述はしません。キャラクターの個性が出来たら、次はその個性を読者に印象づけます。そのキャラクターはどいういう個性を持っているのかを読者に認知してもらうためのエピソードを作ります。基本的に、これは登場エピソードでなされなければなりません。キャラクターを活かすも殺すも、この読者への第一印象が決定づけると言ってもいいでしょう。そして、その後は読者に認知させた印象をブレさせないことで、キャラを立たせることができます。ストーリー展開の中で、キャラクターの違った側面や、表面とは異なる内面を見せてキャラクターを掘り下げることもありますが、それも、それまでのキャラクターの一貫性があってこそドラマとして生きてくるのです。

 「キャラクターを立てる」というのを最初に言ったのは小池一夫氏だったと 思います。キャラクター創りとその立て方、ひいてはストーリー作りのコツを 知りたければ、なかなか手に入りにくい本ですが、『小池一夫の漫画学 キャ ラクターはこう創る!』『小池一夫の漫画学 キャラクターはこう動かす!』 『小池一夫のキャラクター原論 キャラクターはこう活かす!』(すべて小池 書院刊)を探して読んでみると良いでしょう。


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