【質問と解答】

Q:今回お伺いしたいのは、「デビューの定義」についてです。私が目指しているのは少女漫画誌ですが、雑誌によってデビューの定義は違うものなのでしょうか? たとえばA誌では、「月例のスクールでトップ賞を取り、それが雑誌に掲載されればそれがデビュー作」となっているようですし、B誌では「月例のトップ賞で賞をとったら雑誌掲載だがデビューではなく、さらに年2回の新人賞で佳作以上をとったら雑誌掲載、しかしそれもデビューではなく、受賞後第一作が掲載されたらそれがデビュー作」となっているようです。これは、雑誌の方針ということでしょうか? 「雑誌に掲載されればデビュー」といった話もよく聞くので、その辺りの事情はどうなのかと思い質問させていただきました。

A:A誌の定義もB誌の定義も間違ってはいません。ただ、「デビュー」という言葉の重みのニュアンスが異なっています。A誌では単に読者への初お目見えというだけにすぎません。作家にとっては初めて作品が多くの読者の目に触れるわけですから記念すべき第一歩と言えますが、読者にとっては単に新人賞の発表というだけで、あくまで投稿者の作品として受け止めるわけです。B誌でいうデビューは、「プロデビュー」というべきものでしょう。プロとアマの違いは、商業的な結果が求められるか否かにあります。新人賞の受賞作は投稿作の中でのベスト作品でしかなく、読者もアマチュアの中での優秀作という目で作品を読みます。しかし、賞を離れて受賞後第一作となると、単行本100万部を売り上げる作品とも雑誌の中で同列に並べられて読者による評価が下されます。ここからが本当のプロの土俵というべきでしょう。その観点からすると、プロのキャリアの第一作目たる受賞後第一作を本当の意味でのデビュー作と考えたほうがいいかもしれません。ただ、新人賞受賞作がそのまま連載に結びつき、プロとしてのキャリア第一歩となるケースもあります。たとえば、古谷実先生の『行け! 稲中卓球部』は新人賞受賞作が結果的にデビュー作ともなり、氏の代表作ともなっています。どの作品がデビュー作かは、プロになった作者が後から、自分にとってのキャリアはあの作品から始まったと感じたときに自ら決めるものではないでしょうか。雑誌でうたう「デビュー」という言葉は、作品や作家を売り出すためのうたい文句に過ぎませんので、定義がどうのとあまり深く考えなくてもいいのではありませんか。


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