【質問と解答】

Q:つい先日、通っている学校内で編集者の方をお呼びして原稿を見て頂く審査会というものがありました。現在専門学生として2年目となる私は、この審査会参加が初めてでした。私の場合は作品の傾向や絵柄等も考慮した上で志望する雑誌はファンタジー誌なのですが、担任の先生は「少年・青年誌を希望する人で原稿が間に合う人はみんな審査会に出ておきなさい」との事でした。この時来て頂いたのは週刊少年誌の編集さん2名だったのですが、自分の志望しない雑誌の編集さんに原稿を見て頂いても良いものなのだろうかと悩みました(志望しない出版社へ持ち込みに行くのと同じではないかと思うのですが…)。けれど、現場の方に自分の作品を見て頂いた事が無かった私は、いい機会だという事で審査会への参加を決めました。
 私は本格的に絵というものを描き始めたのは中学生の頃で、実際にトーンやつけペン等を使って原稿を描き始めたのは専門学校に入学してからでした(デッサンやパースに多少問題はあるものの、線は綺麗だと言われます。絵柄はどちらかというと線が細く少女漫画寄りな感じです)。

 編集の方には色々とアドバイスを頂き、話自体は短いページでよくまとめられていると言われました(16ページ作品です)。そこで「ネームを描いたら見るから連絡頂戴」と名刺を頂きました。担任から聞いていた話では審査会で名刺を貰えるのは2〜3人と聞いていた事もあり、「自分の頑張りが認めてもらえた」「顔を覚えて貰う為にも数日中にネームを仕上げてまた見て頂こう」と非常にやる気にさせられていました。ですがその翌々日に、2人いた編集さんのうち私が見て頂いた方の編集さんからは全員が名刺を貰ったと聞き、その事実に正直混乱して、こうしてご相談に伺いました。
 その編集さんは人数の都合上10分ほどお話をさせて頂いただけなのですが、とてもお人柄のいい方で、「デビューする為のツテは多い方が有利でしょ?」「ウチだけじゃなく他の出版社に持ち込んでいてもいいから」「会社の系列で別の雑誌を紹介してあげる事もできるから」などと親切にご意見を下さっていました。ですが、審査をした全員に名刺を配っているとなると、この作品が雑誌のカラーに合うと判断しての行為ではないように思います。勿論できるならその編集さんとお付き合いをさせて頂ければより良い作品制作をしていけると思いますし、私の作品がその少年誌もしくは出版社の雑誌に合うのであれば、そこ一筋で頑張らせて頂きたいと思います。けれど、自分の目から見るとやはりその出版社の雑誌カラーに合う作品だとは思えないのです。この場合この編集さんを信じて持ち込み等をしていくべきでしょうか? それとも自己判断で「向いている」と思う雑誌に切り替えるべきでしょうか?

A:その編集者の言うとおり、デビューするためのつては多いほうがいいと考えるなら、一度ネームを持ち込んでみてはいかがでしょうか。全員に名刺を配ったその編集者に他意はなく、自分のところの雑誌のためのみならず、審査会に参加してくれたすべての漫画家志望者のために力になりたいということなのでしょう。もちろん、自分の編集部でなくともできれば同じ出版社の雑誌に描いてくれればとは考えているでしょうが、あなたもその出版社のすべての雑誌を読んでいるわけではないでしょうから、もしかしたらあなたが合うと思える雑誌と出会えるかもしれません。少なくとも、現場の編集者に気軽にネームを見てもらえる機会は生かさない手はないです。担当になってもらうか、雑誌を紹介してもらうか、志望の雑誌に改めて持ち込むかは、ネームを見てもらって自分の適性について話を聞いた上でも、判断は遅くないでしょう。


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