【質問と解答】

Q:少女漫画家志望の者です。コマ割りや「変形コマ」について質問させて下さい。以前、持ち込みをした時に編集者の方からコマ割りについてアドバイスを頂きました。私のマンガのコマ割りが「ざっくり」していて少女マンガというより、青年誌向きだとの事でした。その雑誌で活躍する作家さんは、変形コマを多用する傾向があり、そのほかにも以下のような特徴があります。
 ・場面が切り替わるときの背景コマの隅に、だんだん小さくなっていく空白のコマを描くことによって時間の経過を強調するテクニックを用いたりする。
 ・表現の一つとして、ストーリーに直接関係のないであろうギャグコマをはさむ。
私はなるべくすっきりしていてシンプルな表現したいと思っています。少女漫画家は、ギャグコマや変形コマを使用しなければ売れないのでしょうか? 

A:確かに、青年漫画では読みやすさを重視するため変形コマやコマからのキャラのはみ出しを嫌う傾向があり、少女漫画では読みやすさよりページ全体のイメージや雰囲気を重視するため変形コマや枠を超えたコマ割りを多用する傾向があります。かと言って、変形コマを使わないと売れないというわけでもありません。青年誌風のコマ割りをする人気少女漫画家もいますから。持ち込み先の編集者の言ったのは、一般論も確かにあるでしょうが、特にその雑誌のカラーがそうであるということでしょう。雑誌の「漫画の文法」に慣れた読者は、別の「漫画の文法」を持ち込まれても容易に受け入れることが出来ないということです。たとえば、ハードロックファンで盛り上がっているライブ会場でフォークソングの弾き語りを始めても、観客の心をとらえるどころか聴いてさえもらえないかもしれません。もちろん、真に優れた作品であるならば、読者が読み慣れた「漫画の文法」でなくとも、感動させることはできるでしょうが、読者を引き込むのに要求される作品水準はより高いものになります。あえて高いハードルにチャレンジして雑誌の中で独自のカラーを築く道もありますが、デビューへの近道を考えるならば、雑誌の読者が読み慣れた「漫画の文法」に合わせるか、あなたの作品カラーにより近い少女漫画雑誌を探すほうがいいかもしれません。


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