【質問と解答】

Q:よく漫画賞の選評で描いてあることが分からないとか伝えたいことが分からないって書く方がいますけど、その程度の人達が審査しているのかと思うと、悲しいですね。読むプロと自負しているのに? 

A:漫画賞の選評でそのように書かれているのは選考者が理解できないというギブアップ宣言ではなく、この描き方では一般の読者に「描いてあること」「作者の伝えたいこと」が伝わらないと示唆しているのです。そのような作品には、独りよがりの表現、作者のイメージを伝えるための作画技術や表現力の不足、一個のストーリーとして成立させるための読者への情報やエピソードの不足、主観や主題が途中ですり替わったり分裂したりしているなどなど、様々な問題点があります。最悪なのは、作者自身すら何が描きたかったのかわからない、あるいは描いてる途中でわからなくなった場合です(そんなことはあるはずがないと思うでしょうが、実際に聞いてみると時々あるのです)。こうなると、ストーリーに関しては完成形が作者にもわかっていないのですから、添削のしようがありません。漫画賞を選考する編集者は、わかりづらい作品であってもなんとか作品意図をくみ取ろうと一生懸命読みますが、一般の読者はそんな親切な読み方はしてくれません。商業誌の漫画家を目指すなら、大多数の読者が考え込まずとも理解できる表現と一貫したドラマ作りを心がけなければなりません。そして、そういったことも含めて漫画賞の採点はなされています。批評は謙虚に受け止めてください。


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