【質問と解答】

Q:よく雑誌には年齢制限はありません、という言葉が載っていますが、 実際には雑誌によってはそう書きつつも25歳以下を中心に… 等と考えているのではないだろうか、などと思ってしまいます。とはいっても、それが全ての雑誌に該当するわけではなく、実力主義だったり、即戦力を求め年齢は本当に関係ないというところもあるとは思いま す。しかし、ある程度の実力を持った高校生とある程度の実力を持った 25歳以上の投稿者がいたとすれば、 確実に高校生をとると思うんです。 それは将来性を見込んで、また、話題性という点でだとは分かりきった事なのですが。
 私は正直、今年齢というものをタイムリミットのように考えてしまっています。どんどん若い新人が現れる中、自分は…と焦りが隠せません。やはり、デビューするには実力と"若さ"が 必要なんでしょうか。また、漫画家としてデビュー出来る人にある素質など、根本的な面でどんな人物が多いのか…など編集者から見るとどうなのでしょうか。

A:まったく同じ資質をもった投稿者が二人いて枠がひとつしかないのなら、将来性を見込んで若いほうをとりますが、実際にはまったく同じ資質をもった投稿者などおらず、枠もひとつではありません。「ある程度の実力を持った」投稿者が二人いれば、二人とも受賞させます。年齢的なタイムリミットがないなどとキレイ事は言いませんが、画力と内容が年齢相応のレベルであれば多少年齢が上でも正当に評価する雑誌はたくさんあります。ただし、総合力よりも感性を重視する雑誌では年齢が高いと敬遠されますから、投稿雑誌の選択の幅は年齢が高くなるにつれて狭まることは確かにあるでしょう。

 ところで、あなたは投稿歴何年なのでしょうか。年齢よりもむしろ投稿歴のほうが重要です。30歳でも漫画歴1年でそこそこのレベルの作品が描けていれれば見込みはあります。しかし、投稿歴10数年なのに漫画を描き始めて1年の投稿者と同じレベルだと、評価はできません。 作品で「そこそこ の実力」が見えたとしても、10数年かけてそこまでの伸びしかみられないとすれば、受賞させても将来が期待できないと判断されてしまいます。10年以上投稿し続けて新人賞の上位入賞ができないとすれば、商業漫画家への道を考え直す時期かもしれません。

 漫画家としてのデビューできる人の条件は、私は「あきらめないこと」と「向上心を持っていること」だと考えます。毎回の新人賞投稿者の中には、プロになれる可能性を持った方が幾人かは必ずいます。しかし、もう一歩の状態が続くと挫折してしまいます。担当がついて励ましや賞賛の言葉があったとしても、目に見える成果がない時期は苦しいものですから。そこであきらめず漫画への情熱を維持し続ける方だけが「この世界」に残ります。さて、あきらめず投稿し続けても、ただ漫然 と作品を描いていては努力が空回りするだけです。前作で何が悪かったのか、何が足りなかったのかを考え、次作に活かさなければ投稿歴に意味はありません。また、「絵」に対する向上心も必要です。向上心のない人の原稿は、いつまで経っても、注意しても雑なままで変わりません。背景がおざなり、枠線がつながっていない、トーンがずれている 等、人に見てもらう絵、人を楽しませる絵を描くという意識が薄いのでしょう。こういう人は根本的に意識を改めなければデビューはできません。また、向上心のある方は編集者をはじめとして他人の批評と助言をよく聞きます。自分の作品がどう読まれるか、どうすれば自分の作品を楽しんでもらえるかということに関心があるからでしょう。何も編集者に言われるままに描けということではありません。相手の考えを聞いた上で自分の考えも持ち、次作をより良いものにしたい、いい絵を描きたい、面白い話を創りたい、大勢の読者に読んでほしいという意識がデビューへと近づけます。


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