【質問と解答】

Q:私は少年系を目指して投稿しているものですが、イマイチうまくいきません。画力が足りない、という理由もあると思うのですが、私の作品は部類分けが難しいよね、と友人にも言われます。

 (1)そこで少年誌と青年誌の大きな違いなどを教えていただきたいで す。よく少年誌にはキャラの心理などを描かず、台詞として表現したほうがいい、といわれますが、そうなのでしょうか??

 (2)また、昔投稿していた雑誌には一発で最終選考に選んでいただいたのですが、いま送っているところはかすりもしません。何度くらい送れば、自分に合っていない(絵柄やストーリー等)と、見切りをつけたほうがいいでしょうか・・??

A:(1)今日、一概に少年誌と言っても、青年誌とのボーダー化が進んでいる雑誌もあり、明確な線引きが困難になっています。ですから、青年誌、少年誌というよりも雑誌のカラーによって対象読者(性別や対象年齢、職業等)が異なるというという認識があります。とはいえ、「青年誌」をうたった雑誌と「少年誌」をうたった雑誌とを個々に比較すると、歴然とした印象の差があることもまた事実です。以下に一般的な青年誌、少年誌の違いを列挙してみましょう。あくまで「一般的」な 差であって、例外は数多く存在するということも念頭に置いておいてください。
 ・性表現・暴力表現の制限の差──この点については、どの少年誌に限らず、青年誌と明確な線引きがあります。
 ・キャラクター重視かストーリー重視か──どちらかといえば、少年誌はキャラクター重視、青年誌はストーリー重視の傾向があります。
 ・キャラクター・メイキングの差──少年誌のキャラクターのビジュアルは記号的(キャラクターの特徴の強調、個々のキャラクターの区別化を重視)、青年誌ではよりリアル志向になっています。
 ・主人公の年齢──少年誌では主人公はほとんど10代。感情移入しやすいように、対象読者の年齢に合わせています(実際のメジャー少年誌の読者の平均年齢は20代中盤から30代前半になっていますが)。
 ・題材の差──対象読者層の興味に合わせた題材選択がなされます。少年誌では読者の生活の場である学園物(少年誌のスポーツ物もまた学園物の延長といえる)や空想的な内容のものが好まれ、青年誌では舞台はより社会的になり、リアルな内容が好まれます。
 ・演出方法の差──少年誌ではわかりやすい直接描写が多用され、青年誌では間接描写が多用されます。これにはキャラクターの(精神)年齢の差とも言えます。人間は年齢が高くなると、本音を口にしたりすぐに行動に移したりしなくなりますから。低年齢向けだと、内面(心理)と台詞・行動が一致していますから、内面を描く必要はほとんどありません。対象年齢が少し上がると、キャラクターが行動に移す前に考えたり、内面と台詞・行動の不一致といった少し高度な演出が可能になります。さらに対象年齢が上がると、間接描写によるキャラクター心理描写が可能になります。キャラクターの表情や行動から、その心理を推測するという、より高度な読解力が要求されるわけです。

(2)回数で見切りをつけるというものではありません。自分で雑誌に合っていないのかもしれないと不安を抱いた時には、できれば持ち込みに行って直接批評やアドバイスを受けてみましょう。投稿中の雑誌の他にも気になる雑誌があれば、その機会に訪問して編集部の感触の差を確認してみてはいかがでしょうか。遠方にお住まいでしたら大変でしょうが、状況の機会を効果的に活用すれば、交通費の元は十分取れると思い ます(2006年8月25日の回答参照)。ぜひ検討してみてください。


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