【質問と解答】

Q:私は7年ほど前から、いわゆる『うつ病』で心療内科に通院しています。しかし病 気を理由に甘えるのは絶対に嫌なので(甘えられるものではないと解っていますし)、 至らない分努力して、原稿のスピードや技術を身に付けたいと思っています。
 ただ、最近わかったのですが、身体的にも問題があるようなのです。具体的には、 食事が思うように摂れなくて貧血・低血糖・栄養失調・骨粗鬆症など。今はまだ軽い のですが、記憶力も低下しているようです(これも栄養の問題かと思われます)。  それでも、病気を克服して絶対に漫画家になりたいんです。そのためなら努力を惜 しみません(闘病という点でも頑張っているつもりです)。
 ですが、投稿や持ち込みの際に、編集者の方がそれを知ったらどう思われるのでしょう? いくら実力が付いても、「これからどうなるかわからない」という理由で敬遠されたり、精神面の病気ということもあって厄介扱いされるのでしょうか? また、この事は予め話しておいた方がいいのでしょうか、隠しておいた方がいいの でしょうか?
 ここと趣旨の違う質問かもしれませんが、真剣に悩んでいます。編集者としての正 直な意見を是非聞きたいです。


A:プロの作家さんにも、身体面、精神面の病気を抱えていらっしゃる方はいます。大抵、プロ活動を数年経たあとに発症したものです。私がつきあいの ある作家さんにも何人かそういう方がいますが、できるだけのサポート はしますし、実績のある方なら編集部でも編成や進行面での対応はしています。とはいうものの、これからおつきあいを始めようという新人で、すでに 病気を抱えているとなると、どうしても商業マンガ家としての将来を危ぶま ざるをえないとい うのが編集者としての正直な感想です。少なくとも週刊連載や隔週連載はほぼ不可能でしょう。月刊連載や読み切り作家としてなら、 あるいは作業効率のアップと進行管理の努力によって、「うつ」が訪れたり体調不良になって執筆できない時期があっても進行に穴を空けずにすむかもしれません。ですから、あなた がマンガ家になるために努力を惜しまない覚 悟がおありなのでしたら、編集者や読者に一定の評価を得るまでは病気のことは隠しておいたほうがよいでしょう。もちろん、病気のことを知らない編集者には進行面での理解やサポートは期待できませんから、原稿を落としたり進行が悪いと思われたりしないために、 健康な人以上に努力が必要だと思います。商業マンガ家は個人事業主であり、マンガ家と出版社の関係は雇用 関係ではなく、一種の商取引です。あなたの個人 的な病気の事情は、あなた 自身の価値を認めさせない限り、出版社(編集部)には考慮してもらえないのです。シビアな言い方になりますが、プロのマンガ家 を目指すなら、それ だけの覚悟が必要だということです。


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