【質問と解答】

Q:マンガ編集部の方はどれぐらい考証の知識をお持ちなのでしょうか?
 たとえばある先生の作品では、最初のころ、女子柔道の黒帯は白いラインが入るという基本すら認識されておらず、読者から指摘されるまで改められなかったことがあったようです。
 また、ある月刊の少年誌に連載されていた時代劇マンガでも、襖(ふすま)を蹴破れば、いきなり中庭だったり(襖では採光ができないので障子であるべき。これは和式建築の基本)もうメチャクチャでした。
知っていてわざと描いているとも思えません。
 ほかにもいろいろと、基本的な考証の間違いを目にする度に、作者ならず編集部の不勉強をも疑ってしまいます。


A:本相談室の趣旨とは異なる質問ですが、一応お答えします。
 編集者というのは、それぞれのジャンルの専門家ではないので、作品の企画当初では基本的には考証の能力はゼロだと思ってください。編集者は多方面に広く浅い知識を持つ一方で自分の得意なジャンルを持っているものですが、マンガ家と共に未知の領域で新たな作品を開拓しなければならないことがあります。例えば、某有名サッカーマンガの企画当初、マンガ家も担当編集者もサッカーファンですらなかったそうです。一から勉強を始め、短期間で作品の形にするわけですから、当然、学校の勉強のように系統立てられた学習方法をとるわけではありません。結果、高度な専門知識が作品に生かされている反面、そのジャンルを知る者にとっては初歩的な知識が抜けていたりするようなアンバランスなミスが起こりえます。
 高度な専門知識を要する作品では大抵、考証者や顧問を別に立てます。しかし、その場合でも、マンガの常識や作品の読解力が乏しいことからの誤解や見逃しが生じる可能性があります。
 あなたが、作り手の立場(マンガ家かあるいは編集者かもしれません)に立った時にわかるでしょうが、ミスは起こりうるものです。その認識の上で、ミスを減らす努力をすべきものだと考えます。読者に対しては言い訳はしませんが、このコーナーに投稿されるからにはマンガ家もしくは関連業種志望の方だと思いますので、あえて事情を述べさせて頂きました。

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