【質問と解答】

Q:以前も一度ここで質問させていただきました者です。
丁寧に答えていただきありがとうございました。
あれから同じ出版社に持ち込みに行ったのですが、編集の方との付き合い方がイマイチわかりません。
 まず「担当」というのは持ち込んで見てくれた方が自動的になるのでしょうか?
(もしそうなら、よくあるハシゴ持ち込みをしたら浮気になってしまいませんか?)
年が年なだけに(26)かなりあせっています、このさいデビューできるならどこでも いいと思っています。(できれば第一志望のところがいいのですが)
 というわけでいろいろあたってるのですが、「ちゃんと前に見てくれた人にその旨を話さなければ」と言われました。
たった一度でもみてくれた編集の方が担当と思っていいのでしょうか?
どこまで義理立てしていいかわかりません。
「また持ってきてください」というのは話が終わったあとの〆の社交辞令と思ってました。
 あと初歩の初歩なのですが、作品にお手紙やメッセージをつけておいたほうがいいのでしょうか?
 最後に、編集の方は見込みが無い場合、はっきり言ってくださるのでしょうか?


A:マンガ賞などに応募した場合は、たいていの場合、受賞通知をしてくるのが担当編集者で、「私が担当になりますので、今後よろしく」などとあいさつしてくれます。しかし、持ち込みの場合、必ずしも持ち込みを受けた編集者が担当になるわけではありません。持ち込みを受けるのは、たまたま電話を受けたからだったり、当番だったからだったりで、あなた自身や作品の評価とは関係ないからです。編集者にしてしてみれば、持ち込みを受けて担当したいと思う場合もあれば、自分の好みではないが編集部の別の人間が評価するかもしれないのでとりあえず原稿を預かっておこうという場合もあるのです。後者の場合、マンガ賞に出したり、回し読みして担当希望を募ったりして、そこで初めて担当編集者が正式に決まります(担当希望がまったくいないこともありますが)。
 持ち込みをした時に応対してくれた編集者が担当になるかどうかは、応対の感触でだいたいわかります。通り一遍の批評を短時間するだけだと望み薄ですし、自分の連絡先を教えてくれたり次回の打ち合わせスケジュールにも話が及ぶようだと、もう担当といってよいでしょう。また、編集者は忙しいので、単なる社交辞令で「また持ってきてください」ということはまずありません。程度の差はあれ、なにかしら見込みがあると思って言ってくれているのでしょう。ただ、次回作の具体的な内容やスケジュールの話があるかどうかで、相手の熱意の度合いは読めるはずです。

 次のご質問ですが、応募や持ち込みの際に作品に手紙やメッセージの類はつける必要がありません。手紙でどんなによろしくお願いされても作品評価にはまったく影響しませんし、編集者にしてみれば読むだけ無駄なものです。編集者としての経験から言うと、それらの手紙の大半は、時間やトーン代が足りなかったことへの言い訳や、デビューを急がなければならない個人的事情の説明、自己陶酔的な自己PRがほとんどで、逆に心証を悪くしていました。会社の応募書類とは違うのです。マンガに対する熱意は、あなた自身の作品の中に表れています。それ以上のアピールは必要ありません。

 最後のご質問ですが、見込みがない場合、はっきり言うかどうかは人それぞれではないでしょうか。私の場合、見込みがないとはっきり言うのは、絵柄や作風が雑誌にまったくあっていない場合と、年齢が高いのにマンガが未熟でデビューに5年や10年はかかりそうな場合だけです。経験上、年齢が若ければやる気次第でいくらでも伸びる可能性があると考えていますから、デビューへの道のりが長いことを伝えた上でなお本人にやる気さえあれば、今は未熟だったり魅力に乏しくてもつきあいます。たしかに、同じように指導しても、別人かと思えるほど伸びる方もいれば、何年も足踏み状態の方もいます。後者の場合、結果的に時間を無駄にしてしまったと恨まれることもありますが、マンガという道を選ぶかどうか、どの雑誌を選ぶかどうか、ひとつの雑誌にこだわるかどうかは結局自己責任です。そして、選んだからには死にものぐるいで、やれるかぎりのベストを尽くしてください。学校ではないのですから、ただ、担当の言うことだけをやっていれば自動的にデビューでき、マンガ家として食っていけるほど甘い世界ではありません。未来の可能性を現実のものとするには、担当に言われることの十倍の努力をしましょう。

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