【質問と解答】

Q:同人誌は本来禁止されているのですか?

A:そんなことはありません。「同人誌(同人雑誌)」とは、「主義・傾向・ 趣味などを同じくする人たちが共同で編集発行する雑誌」(広辞苑より)の ことであり、商業雑誌とはまた別の存在意義を持つ雑誌形態および発行活動 です。
 ただし、現在の同人活動の主流はオリジナル同人ではなく、アニメや商業誌マンガ、ゲームを元ネタにしたパロディ、つまりファンアートです。パロディという表現形態そのものを否定はしませんが、現状で同人市場でやりとりされているパロディ同人誌はほぼすべて、商業作品のキャラクターやストーリーの無断使用や無断改変、つまり著作権侵害に当たります。「著作権」については詳しく述べると長くなるので簡単に触れるだけにしますが、過去の「『ときメモ』藤崎詩織同人ビデオ事件」や「ポケモンやおい同人誌事件」等では著作権のうち「複製権」「同一性保持権」の侵害で起訴され(後者は複製権侵害のみ)、有罪判決が下っています。従って、個人や同人の枠を越えた同人誌販売を目的としたパロディ誌は原則禁止なわけですが、日本のアニメ、マンガ、ゲーム業界においては、著作権侵害による損失を主張してファン活動を制約するより、同人ファンアートの盛り上がりがむしろ原典作品の人気を後押しすると考え、パロディ 同人誌を黙認しているのが現状で す。それが、今日のコミックマーケットをはじめとする同人誌即売会や同人ショップ等の同人市場の隆盛をもたらしています。この商業市場と同人市場の二人三脚はこれからも続くとみられますが、訴訟沙汰にならないように度は超さないようにすべきでしょう。
 また、パロディ誌イコール同人誌というわけではありません。同人誌即売会でも、ファンアートのように派手な売り上げこそありませんが、オリジナル同人誌(創作系)や評論、研究同人誌などの中には編集者の目から見ても優れた同人誌がたくさんあります。ファンアートもいいですが、同人誌・同人ソフト製作が簡単になった今だからこそ、オリジナル創作にもっと目を向けて同人活動してはいかがでしょうか。


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