【質問と解答】

Q:漫画家のCLAMP先生のように、いろいろな雑誌で連載をすることは可能なのでしょうか? CLAMP先生は『なかよし』やいろいろな雑誌(と言うか出版社と言うか分かりませんが…;)で幅広いジャンルでご活躍なさっていますが、そういったことも漫画家になれば可能なのでしょうか?

 A: 複数の雑誌や出版社で仕事をすることは可能です。
 ただし、それができるのは物理的に複数の連載をこなせる作家に限られています。原稿をあげるのが早く、複数の連載を持ちたいほど創作意欲にあふれているならば、頼もしい限りです。しかし、自分のキャパシティを超えた仕事を引き受け
た挙げ句、原稿を落としたりするのは、プロとして恥ずべき行為です。
 また、新人のうちはココと編集部を決めたら、あちこちに持ち込まず腰を落ち着けて1作1作に全力投球しましょう。複数の作品に全力を注げるほどまだ余裕がないでしょうし、ライバル誌にも持ち込んでいるとなると担当編集者や編集部の心証も悪くなるかもしれません。
 ここで、専属制度についても述べておきましょう。才能ある作家は編集部や出版社にとって財産です。よくマンガの欄外などで「○○先生のマンガが読めるのは『少年○○』だけ」などという文がありますよね? その雑誌でしか読めない作家は、読者にとって希少価値があるわけです。つまり、作家にはどの雑誌でも仕事をする権利があるのですが、雑誌にとってはそれは必ずしも好ましいことではないのです。ですから、他誌に描いて欲しくない作家に年間専属料を払い専属契約を結ぶわけです。専属契約を結ぶと、契約期間中(通常1年ごとの更新)は他の出版社での仕事は受けられなくなります。契約内容は個々の契約によって異なりますが、たいてい同じ出版社内の別の雑誌でなら契約範囲内のことが多いようです。また、業務やジャンルが重複しなければ、つまりアニメやゲーム、小説の挿絵の仕事などなら可という場合もあります。いずれにせよ、契約を結べば同時に複数の出版社でマンガの仕事をすることはできなくなります。ただ、専属料や雑誌の顔として厚遇されるなどの有形無形のメリットもありますので、編集部から契約を提示されたら自分のキャパシティや意欲と勘案して臨んでください。

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