少年誌の編集部におりますA田(仮名)です。新人賞を目指してこのHPにたどり着いたみなさんに、少年誌編集者の心を『がちっ!』と掴む新人賞応募のコツをお伝えいたします。

 新人賞とは、もちろん漫画家となるための登竜門です。が、編集者は送られてきた原稿の表面だけを見たりはしません。その原稿を通して、描いた人の人格を見ようとしています。つまり作家になれる人なのかどうかを『かっ!』と目を見開いて見ているのです。あなたの原稿はあなたの人格を編集者に伝える唯一の材料なんです!!
 『人格』とか大仰に言いましたが、実際にはわりと普通のことを見ています。以下に解説します。

1.原稿用紙はきれいに!

 実は結構汚れた原稿を目にします。シミだったり、穴が空いていたり、破けていたり、単なるヨゴレだったりするんですが。エンピツの消し忘れなども要注意かな。
 面接のときに寝起きそのままの格好で行く人はいないでしょう? キレイな、そして見栄えが悪くても丁寧にヨゴレを取ろうしている原稿には好印象を持ちます。

2.コマを丁寧に割る!

 そのまんまです。枠線は丁寧に引いてください。

3.背景をしっかり描く!

 キャラクターをしっかり描くのは当然だし、みなさんも意識が強いところでしょう。
 しかし背景こそが、キャラクターを描く以上に新人の力量を見る大きなポイントになっているのです。場面を描くのに、適当な背景しかなければ、そのシーンの意味がほとんど失われてしまうこともありえない話ではありません。さらに言えば、しっかり描かれている背景こそが、時にはキャラクターの心象を描写したり、物語の伏線を張ったり、ストレートに気合の入ったキャラクターの絵を生き生きと浮き立たせたりするのです。
 もちろん上手下手はありますが、何よりも丁寧に背景を描こうとしていることは、編集者にとってその人の意気込みを感じる大きな要因になります。

4.フキダシの字は丁寧に書く!

 これも文字通りです。読みやすく丁寧に書いていただけるとありがたいです。あと、長いセリフは国語力を駆使して、簡潔に意味の通るよう推敲をしたほうがいいと思います。キレのあるセリフとは、あまり長いものではありません。

5.締め切りギリギリで描くな!!

 1〜4までの要素を満たすためには、締め切りと自分の作画のスピードを吟味して、ゆとりを持って描くことが肝要です。(当HPにも新人賞の応募の概要のページがありますので参考にしてください)

6.編集者も普通の人

 原稿を見てその人の人となりを見ているということはご理解いただけたかと思います。割と普通のことだったでしょ? でも、普通のことだからこそ、案外お座なりになってたりもするんですよ。
 ぶっちゃけ、内容や絵が突き抜けていればその他の些細な難はぶっ飛んでしまうものですが、そのこだわりだけでは原稿は完成したとは言えないのです。編集者は完成された原稿のみを拠りどころに、あなたの人柄を感じたいと願っています。だからこそ、丁寧に原稿を仕上げる! その姿勢が感じられれば、編集者はその原稿を一次選考クリアさせるでしょう。

 勝負はそこからですけれどね。

 さて、今回は入門編みたいな感じになっちゃいましたので、機会があれば今度は具体的なテクニック編をお送りできたらと思います。

[少年誌編集者・A田]


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