(P.1)
【テキスト】
2丁の銃の銃口が男の後頭部に向けられている。
ひざまずき、両手を左右の耳のあたりまで上げ、震える声で命乞いをしている男。
「た、たすけてくれ」

【銃器設定】
  兄弟が何者かによく訓練されたプロの暗殺者だとすると、9mm×19弾(9mmルガー、9mmパラベラムとも)の銃を選ぶでしょう。これは万が一の場合でも、弾薬が比較的入手しやすいことと、NATOの標準拳銃弾であるため、特殊な用途の弾薬も多数揃っているからです。.45口径(0.45インチ=11.37mm)にくらべるとパンチ力は少ないのですが、貫通力が高く、物陰に潜んだ敵にも有効弾を撃ち込める可能性があります。また、万が一、現場でトラブっても、敵のガードマンなどが9mm×19弾の銃で武装している確率が高く、そうなればそのまま弾薬をちょうだいすることも可能です。さらに、兄弟が同じ銃を使うのは大きなリットとなります。弾薬が共通なばかりか、弾倉(マガジン)も同じなので、万が一トラブっても、お互いにマガジンを渡し合うことが出来ます。
 さて、ここで問題は何の銃を選択するかですが、現状では、やはり全米の多くの警察で採用しているグロックが私としてはお勧めです。人気のベレッタM92に比べて撃ちやすい銃ですし、命中精度も高い気がします。また、装弾数もベレッタの15発+1(薬室内)に対して、グロックG17ならほとんどかわらないサイズで17発+1(薬室内)の多弾数を誇ります。(いずれにしても民間用は10発まで)
 プロなら少ない弾数で十分とお思いかもしれませんが、プロである警察はグロックを選んでいるのです。銃撃戦などという極限の状況では何が起こるかわかりません。このとき多弾数は大きな安心を与えてくれますし、実際にセカンド・チャンスを与えてくれるかもしれません。
 ハンマー(撃鉄)が露出していないことで、不発弾が出たらどうするのだという疑問もあるかもしれませんが、多くのシューターは不発が出たらもう一度叩くなどということをやらずに、3秒ほど待ち(遅発の可能性がある)スライドを操作して次弾と入れ替えてしまいます。
 ドイツの銃という選択もありますが、カッコはいいのですが、複雑すぎる嫌いがあり、命をかけるのなら私はシンプルな構造の銃を選びたいと思います。
 なお、仕事の本番には、弾薬は貫通力を高めるためにテフロン・コートした弾丸を使う、KTWを選択します。弾丸の色は薄い緑色をしています。もちろん警察と軍用に開発されたもので、市販はされていません。別名「コップ・キラー」と言います。車のドアや防弾チョッキも楽々と貫通してしまうからです。
 身につけるのは、必ずヒップ・ホルスターにしてください。現在プロはほとんどの場合、ショルダー・ホルスターを使いません。FBIではショルダー・ホルスターの使用を禁止しています。実弾を装填した銃を抜くときに、暴発事故が起こりやすいからです。この場合、相棒を撃つ可能性が高くなります。ヒップ・ホルスターの場合は暴発しても自分の足を撃つことになるわけです。絶対にプロは銃を裸のままベルトに挟んだりはしません。これは自殺するようなものです。私のお薦めホルスターは、軽くて水にも強いナイロン繊維を使ったアンクル・マイク製のサイドキックです。
 銃は万が一に備えて、左右両方の腰に差します。ただし、二挺拳銃にはしません。映画的でカッコいいのですが、二挺同時または交互に両手で撃っても、当たりません。それより利き腕をメインに両手で構えて撃った方が、速くて正確です。もう一挺はバックアップ用です。
 予備弾倉は、倒す敵の数にもよりますが、背中に専用ポーチに入れて、2本2本、1人合計4本は持ちたいですね。つまり、1人の弾数は、銃内のものも含めて6弾倉、薬室内に1発送り込んでおかないとして、17×6=102発となります。これは、銃撃戦が長引いた場合、弾数を数えておくのがプロだとしても、実戦ではチャンスさえあればマガジン・チェンジしろと教えているためです。10発残っていても、チェンジする隙ができたなら、迷わずその10発を捨てて、17発入った新しいマガジンにしろ、というわけです。