●神崎進吾の名探偵紹介!●

 『アンナ』第3 話登場の名探偵は、かのアルセーヌ・ルパンです。「えっ、ルパンて名探偵?」と訝しむ方も多いと思います。そもそもルパンといえば「怪盗紳士」という冠が付く人物ですが、作品を良く読むと、自分にかけられた嫌疑を解くために推理して真犯人を探し出すという物語も、少なくありません。それどころか、こともあろうに変名で探偵事務所も開いてますしね。
 アニメの三代目が余りにも有名すぎて、初代を読んでいない人(私の周囲の人、ほとんどがそうでした)も多いと思いますので、ここで少し紹介させて頂きます。

【アルセーヌ・ルパン(Arsene Lupin】
 神出鬼没の怪盗、城館やサロンしか荒さぬ謎の男、変装の名人、ダンディでエスプリにあふれた紳士。主だった特徴を列記すると、こうなるでしょうか。そして驚くべきことにルパン最初の窃盗は、彼が6 歳の時にトリックを用いて遂行されています。成長してからも数々の窃盗事件を起こし、命の危険に晒されることも数知れない。やがて 31 歳になると世紀の対決を果たすことになります。相手は、英国の誇る名探偵シャーロック・ホームズ。対決の結果は‥‥ここで語るべきではないでしょう。ともかく、フランスを代表する人物の一人であることに間違いはありません。

○作者はモーリス・ルブラン。彼は晩年、フランスの文化勲章というべきレジョン・ドヌール勲章を授与されたが、それは「ルパン」という国民的英雄を創出した功績によるものでありました。『奇巌城』、『虎の牙』、『カリオストロ伯爵夫人』、『水晶栓』など、実際に読んでいなくても聞いたことはあるというタイトル(特に「カリオストロ」という人名などは知っている人が多いハズ)が、ルパンの冒険物語に顔を揃えています。ですが今回は、これら有名な長編作品ではなく、2 冊の短編集を参考にして『アンナ』の原作を書かせて頂きました。「 ハートの7 」収録の『 怪盗紳士リュパン』(創元推理文庫、訳・石川湧)『バーネット探偵社』(新潮文庫、訳・堀口大学)です。ちなみに「ハートの7」は、ルパンと語り手(ルブランだと思われる)が知り合うきっかけとなった事件として描かれています。
 善悪入り乱れての策謀渦巻く作品も面白いですが、シンプルなトリックと分かりやすいルパンの人物描写が楽しめる短編集を、入門編として私はお薦めします。
 
●さてさて、勝手につくった慣わしとして、漫画の説明を少し。文明が手塚先生などの初期漫画本の値段を語っていますが、あれは別にでっち上げではありません。プレミア漫画を特集した雑誌の記述を参考にさせて頂きました。ただ、雑誌自体が最近のものではないので、現在の値段と合致しない可能性は高いと思われます。ですが、今回取り上げた作品は全て部数が元々少なく、値が下がるということは考えにくいので、こういう形で取り入れさせて頂きました。どうか、ご理解の程を。
 念の為に申し添えておくと、マジックトランプは実在します。デパートで容易に入手出来ますので(我が家にも3セットあります)、興味のある方は、是非お買い求め下さい。
 最後に、第 4 話目に登場予定の名探偵のヒントを。【タイタニック】

                        神崎進吾/漫画街

 
 
 
 
 
 
 
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