●神崎進吾の名探偵紹介!●
いよいよ始まりました『アンナ』シリーズ! 毎回、古今東西の名探偵が登場する予定ですので、楽しみにお待ち下さい。
さて、ここでは今回登場の名探偵の説明と漫画内容の付加的説明を、この作品を皆さんがより楽しめるようにとの思いから、ほんの少しではありますが、述べさせて頂きます。
【オーギュスト・デュパン(Monsieur C.Auguste Dupin)】
五等勲爵士。立派な家柄の出だったが、色々不運な出来事が重なりひどい貧乏に。そのために生来の気力も挫けて、世の中に出て活動する気も家運挽回の念も全くなくなってしまっていた。ひどくつつましい節倹をして日々を過ごすが、書物だけが唯一の贅沢。
フォブール・サン・ジェルマンの辺鄙な淋しいところにある、危うく倒れそうな古ぼけた異様な邸に“私”と一緒に住む。“私”は事件の記述者であり、二人は図書館で出会った。この辺の事情は、『モルグ街の殺人事件』に詳しく書かれてある。
★実際(?)のデュパンに会いたい人は下記の3作品をお読み下さい。
『モルグ街の殺人事件』『マリ・ロジェエの迷宮事件』『盗まれた手紙』
作者は、エドガー・アラン・ポオ。これらの作品によって、ポオを探偵小説の祖とする見方が強いようです。なお、漫画原作執筆の際、参考にさせて頂いたのは、岩波文庫『黒猫・モルグ街の殺人事件』(訳・中野好夫)でありました。この中には、上記3作品全て収録されています。
正真正銘のデュパン物は3作品ですが、他の作家によってパロディやパスティッシュが多く書かれている、推理作家の創作意欲を刺激する名探偵の一人です。かくいう原作者も刺激された一人で、名探偵を憑依させるというアイディアが出来た時、真っ先に脳裏に浮かんだのがデュパンでした。
最後に漫画の説明を少し。漫画の各話のタイトルは、登場する名探偵を予測してもらうために小説タイトルをそのまま使用させて頂きました。ですので「今回の漫画に手紙は出てこない」とお怒りにならぬよう、よろしくお願い致します。
漫画内で名探偵モードのアンナが言う台詞は、小説『盗まれた手紙』の活用です。これらの台詞を活かせるように漫画の内容を考えるのが、とても苦労したところです。
なお、文明が掛けているのは鼻眼鏡です。ツルの描き忘れではありませんので、悪しからず。そのうち出すつもりですが、文明はエラリー・クイーンのファンで、その名探偵に
あやかって鼻眼鏡を掛けている、という設定です。
漫画のみならず、こんな拙文にまでお付き合い頂き、本当にありがとうございました。その付き合いの良さを見込んで‥という訳ではありませんが、漫画を読んだ感想など頂ければ、とても嬉しく、今後の作品創作の励みにもなります。どうかよろしくお願い致します。
神崎進吾/漫画街
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