プロとして活躍しているマンガ家さんたちもかつては新人さんだった(あたりまえだけど)。新人のマンガ家さんにとってデビューは良きにつけ悪しきにつけ、忘れられないターニング・ポイント。このコーナーでは、マンガ家さんのデビューの頃の話を質問形式で語ってもらいます。
【第30回目のゲスト/張慶二郎先生】
【張慶二郎先生への30の質問】
  • デビューはいつ頃ですか?
    25歳だったと

  • デビュー作のタイトルは?
    『High school High sky』だったと

  • デビュー作の簡単なストーリーを教えてください
    地方に住む高校生がコクってフられ、連れとヤケ酒を飲んで、不良にからまれてボコられて、河原で夕日に向かって吠えるといった内容

  • デビュー作でもっとも描きたかった事は?
    とりあえず、それなりのページ数の作品を練習用に描いてみようとしたもので、いいかげんにでっち上げた、ストーリーとも言えないようなものでしたから

  • デビューした雑誌は?
    「週刊モーニング」の新人特集の増刊号で

  • どのような形でデビューしましたか?(マンガ賞受賞作、持ち込み作など)
    講談社の「ちばてつや賞」の佳作入選で

  • デビュー作はマンガを描き始めてどのくらい(期間)でしたか?
    7年くらいだと思います

  • またそれは何作目ぐらいでしたか?
    10ページ前後の短いものを、3〜4本描いたあと

  • その頃の本業(学生、フリーターなど)はなんでしたか?
    会社員を辞めて、住宅外回り部分の工事の職人をしてきました

  • その頃は本気でマンガ家を目指していましたか?
    はい

  • もしマンガ家としてデビューしていなければどんな仕事につくつもりでしたか?
    まったく考えていませんでした。
    楽観的に、いつかは漫画で食べていけると思っていたもので

  • マンガ家デビューの際の家族の反応はいかがでしたか?
    少々心配してはいたみたいですが、特に反対などはなかったです。会社を辞めたことなどなど、すべて事後報告だったので、今さらとやかく言ってもしようがないと思っていたのでしょう

  • 目標としていたマンガ家さんがいたら教えてください
    大友克洋氏や土田世紀氏など

  • そのマンガ家さんのどこにひかれていましたか?
    絵柄、演出、登場人物、作品の雰囲気など、それらすべてに

  • デビュー作の原稿料または賞金は何に使いましたか?
    ビールや納豆や、バイクのガソリン代に

  • デビューが決まった時の感想は?
    15万円の賞金をラッキーと思い、ビールもいつもよりおいしく感じられたと思いますが、
    たまたま何かの懸賞に当たったという感触でした。あれで即「漫画家」になれるとは思っていなかったので

  • デビュー作が実際に雑誌に掲載された時の感想は?
    「うわっ、こりゃ下手糞やなあ〜〜。正視に耐えられん」。
    もっとうまく描けていたと思ったので

  • デビュー前後でマンガに対する考えかたに変化はありましたか?
    その頃はまだ。あまりにも漫画経験値が低く、何も分かってはおらずボーってしてましたので

  • デビューの頃、編集者と打ち合わせをどの程度していましたか?
    地方に在住していたのですが、電話で話をして、2週間くらいかけてネームを描いて郵送して、また電話で話をして、一週間くらいで描き直して郵送して、また……といったペースだったのでは

  • その頃編集者との打ち合わせでためになった事は?
    何しろ初めての経験でしたので、すべてがためになったのでは

  • 逆に編集者との打ち合わせで苦労したのはどんなときですか?
    こちらは勝手が分からず、電話でのやりとりなので、なにやらもどかしいというか、やりづらいなとは感じてました

  • 編集者との打ち合わせなどはどのような形でしていましたか?
    電話で

  • 編集者とのつきあいで思い出に残るエピソードがありましたら教えてください
    打ち合わせ中の作品のタイトルを『ウヲウヲ』と書いて送ったところ
    「『うをうを』とはおもしろいタイトルですね」と編集の方。
    受話器を握りしめながら自分は「は? 何を言ってるんだ?
    『うをうを』じゃなく『うぬうぬ』だろ……?」

    自分が25年間「ヲ」と「ヌ」を取り違えて覚えていたのヲ、
    親切に指摘していただきました。さすが、文科系の人は違います

  • デビューの頃、良きライバルとか、語り合えるマンガ家さんはいましたか?
    いませんでした。
    当時の親方に「張くん、ありゃあ正直つまんなかったね」とアドバイスを受けたことはありますが

  • デビューの頃、マンガ家として成長していくために特に何かした事、勉強した事などはありますか?
    特に何かをということはなかったですが、そのあと上京してのアシスタント生活は、怠け者の自分にとっては、常に漫画作りの場に身を置いて、自分の目標を見失わないようにするという点で、よい選択だったと思います

  • デビューの頃、マンガ家として特に何か悩んだ事などはありますか?
    その頃はまだ。ボーっとしてましたので

  • デビュー作を今の自分が再評価すると100点満点中何点?
    13点

  • またその理由は?
    長い間目にしてないので、「そんなもんやったろ」っていうイメージですけど

  • マンガ家としてデビューするために必要な事はなんだと思いますか?
    「ワシ、漫画で食べていけるんちゃうの?」という思いこみと決意。
    それと実際に行動すること。いくら才能があっても動かんことにはね

  • これからマンガ家を目指す人達になにか一言
    がんばってや〜〜〜〜っ!
  25歳のときに「ちばてつや賞」に佳作入選してからモーニングで読み切りを一本掲載する。およそ1年後に上京、某漫画家のアシスタントに入るが、根っからの怠け者根性が頭をもたげ、自作のためにペンを取ることもせず月日を重ねる。ある時パチンコ雑誌にて作品掲載の機会を得て、アシスタント業を続けながら自身の仕事もこなす生活を始める。その後は白夜書房、竹書房、実業之日本社、日本文芸社、海鳴社、双葉社などで読み切りや連載を多数掲載。近著に『ミスターブラフマン』(竹書房)『学園暴拳記 凡破』(双葉社)『極道騎手』(双葉社)など。今夏刊行予定で富士通コンピュータの開発秘話をテーマにした『プロジェクトX』シリーズ(宙出版)に描き下ろしで作品を発表する。「ビールと愛犬とお日様と芝生のある公園にお気に入りの本、ついでにAMラジオがあれば至福の時が過ごせる」とは本人。

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